iPhone 11の次は「Apple TV+」 アップルオリジナルの動画コンテンツの強みは

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iPhone 11の次は「Apple TV+」 アップルオリジナルの動画コンテンツの強みは

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先月、アップルの秋の発表会でティム・クックCEOが自社制作のドラマと映画の予告編を公開。これらのオリジナル動画作品はアップルの動画配信サービス「Apple TV+」で公開される予定だ。Apple TV+は11月1日にサービス開始予定で、月額料金は4.99ドル(約550円)となっている。

Apple TV+のサービス開始は、アップルが動画ストリーミング分野での布陣を完成させたことを意味する。今年3月、同社は新しい「Apple TV」アプリを発表。当時の主なサービスは「Apple TV channels」に提携プラットフォームのコンテンツをまとめることで、ユーザーが各プラットフォームにアクセスする手間を省くというものだった。しかしApple TV+の運営開始は、アップルがオリジナルコンテンツを制作することを示すものだ。

Apple TVでは複数の動画プラットフォームの統合と、オリジナルコンテンツの制作を並行して行う。海外ではストリーミングメディア市場が盛り上がりを見せており、同じく11月にはディズニーも動画ストリーミングサービス「Disney+」をスタートさせる予定だ。さらにNetflixやHBO Max、アマゾンプライムなどの大手企業がこの市場にはひしめいている。

ストリーミング業界の戦いは始まったばかりで、まだ勝負はついていない。コンテンツサービスに踏み込んだアップルはこの機会を逃したくないはずだ。

アップルにとって長年の夢だったテレビ制作

「簡単に利用できる総合型TVを作りたい」とアップルの前CEOである故スティーブ・ジョブズ氏は生前、彼の伝記を執筆したウォルター・アイザックソン氏に語っていた。「全てのデバイスとiCloudに完全に同期できるTV」を考えていたのだ。

この夢を実現させるため、アップルはセットトップボックスや「tv OS(TV向けオペレーティングシステム)」を作ったが、これらの努力がTV業界を動かすことはなかった。しかしストリーミングメディアの出現がTV業界の改革を可能にし、2019年アップルは全く新しい「Apple TV 」アプリを発表。このアプリはサムスンやソニー、LG、VizioなどのスマートTVにも取り入れられ、アップルのスマホ、iPad、Macなどのデバイスにも徐々に広がっている。

Netflixの成功が米国のコンテンツ視聴方法を変えた。そしてディズニーがNetflixのやり方で同社と競争し始めた。「Disney+」がその代表例だ。ディズニー、ピクサー、マーベル、スターウォーズ、ナショナルジオグラフィックの5つのプラットフォームのコンテンツ全てを配信できる唯一のストリーミングプラットフォームとなったのだ。このほか、ディズニーはNetflixへのコンテンツ提供を徐々に中止し、Disney+で独占配信するようにした。

コンテンツサービスを拡大しようとしているアップルがこのチャンスを逃すはずがない。アップルの第3四半期決算によると、サービス関連の売り上げは115億ドル(約1兆2400億円)であり、総売上高の21%を占めるという。ハードウェアの成長が停滞した後はサービス関連事業が最大の成長をもたらすとみられている。

Netflixの直面している課題はアップルも不可避

「アップルはApple TV+をもう一つのNetflixにする必要はない」という意見もあるが、コンテンツ分野は大手が上位を占めている。しかもユーザーが重視するのはコンテンツそのものであり、プラットフォームではない。数本の人気コンテンツに依存するようでは長期的にユーザーをつなぎ止めることはできない。絶えず新作を出してこそ、より多くのユーザーを獲得できる。

動画コンテンツ分野の新規参入者として、アップルの最大の課題はコンテンツリソースの不足だ。4.99ドル(約550円)の月額料金では海外市場では大した競争力を持たない。Netflixのベーシックプランは8.99ドル(約1000円)、多くのスポーツ放映権を持つ「ESPN+」は5.99ドル(約650円)、Disney+は6.99ドル(約750円)だが、限られたコンテンツしかないことを考えると、Apple TV+の価格は割高だ。

Apple TVは将来的にはiOSのデバイスに標準装備されるだろう。iPhoneやiPad、Macなどの所有者がそのままユーザーになる可能性がある。しかし欧州や北米のユーザーはTVの大画面で番組を視聴する傾向があり、スマホで頻繁に視聴するものといえば、YouTubeなどのショート動画ぐらいだ。

アジアのユーザーは長時間の動画でもスマホで視聴する習慣があり、Netflixはインドや東南アジアのユーザー向けにモバイル端末にふさわしいコンテンツを制作しようとしている。しかし北米ではやはりTVが主流であり、これはアップルのデバイスならではの強みを短期間では発揮できないことを意味する。

Apple TVの発表会にオプラ・ウィンフリー氏やスティーブン・スピルバーグ氏のような著名人を呼んだが、欧米の成熟した市場にはレベルの高い制作チームは少なくない。長年の実践を経て、Netflix、ディズニー、HBOなどはすでにオリジナルコンテンツとブランドの調和を完成させており、アップルは今後作品を大ヒットさせることで自社のコンテンツ制作能力を証明する必要があるだろう。
(翻訳・山口幸子)

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