ショッピングカートがスマート化 タブレット付きで商品の識別から決済まで一括自動処理へ

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

スタートアップ編集部お勧め記事注目記事

ショッピングカートがスマート化 タブレット付きで商品の識別から決済まで一括自動処理へ

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

顧客が選んだ商品の識別から決済までを一括処理する「スマートショッピングカート」を手がける「超嗨網絡科技(Chaoyi Network Technology)」が、シリーズA+で数千万元(数億円)を調達した。出資を主導したのは、同じく小売現場のデジタル化に注力する「漢朔科技(Hanshow Technology)」だ。超嗨網絡科技は昨年3月にもシリーズAで数千万元を調達しており、「洪泰基金(Hongtai Capital Holdings)」が出資を主導したほか、「前海母基金(Qianhai Fund of Funds)」や「晟道投资(Certain Capital)」も出資に参加した。

同社は今回調達した資金で小売り現場のデジタル化プロジェクトをさらに推進する。スマート化、デジタル化を通じてスーパーマーケット、小売ブランド、顧客の三者をつなぎ、インダストリアルインターネットの進化を通じてスーパーマーケットを少ないコストでより大きな成果を上げる事業モデルへ転換し、さらに海外市場への拡大を目指す。

外国の考察団のゲストに同社商品を紹介している

2015年に設立された超嗨網絡科技は前回の資金調達から1年あまりの間に、製品アップグレードと運営の標準化における目標の第1段階を達成した。現在は中国国内市場で「物美(WUMART)」「多点(DMALL)」など数十社の小売企業と提携し、北京・深圳・広州・西安・成都など10以上の地域でサービスを提供している。海外市場ではセブン&アイ・ホールディングス子会社でスーパーマーケットチェーンを運営するヨークベニマルと提携し、同社のスマートカート「超嗨購物車(SUPERHI smart shopping cart)」をすでに稼働させている。

同社は創業時からショッピングカートの可能性に着目していた。既存のショッピングカートにスマートタブレットを設置した製品は顧客がログインすると利用できる仕組みで、選んだ商品のバーコードをスキャンしていくと、自動的に支払いまでを完了する。

スマートカートは支払いの効率を高めるほか、広告表示や商品管理の機能も併せ持つ。カートに設置されたタブレットの画面には、これまでに蓄積された顧客データを基に顧客の興味に合致する広告が選ばれて表示される。1人1人の顧客に「刺さる」プレシジョンマーケティングの実現だ。

スマートカートを導入する企業は、データをデジタル化して管理する機能も使える。カートにはカメラが設置してあるため、顧客の使用時に商品棚の商品をスキャンして情報をフィードバックする。商品棚の管理とデータ化ができるのだ。商品検索から決算、広告、データ収集までをスマートカートは一括して担うことができる。

超嗨網絡科技のサービスは、会計時の行列をなくすためのソリューションを出発点とし、支払い、マーケティング、デジタル化管理までを網羅するトータルソリューションへと転換した。ハードウェアとしては、カート以外にセルフレジなども提供し、買い物プロセスのセルフ化、スマート化に全面的に対応している。

買い物が終わり、決済をしているお客さん

ビジネスモデルとしては、国内市場ではハードウェア販売、広告掲載料、データサービス、海外市場ではハードウェア販売を収益源とする。

日本をはじめとする先進国では高齢化による労働人口の不足が深刻で、小売業界もこれを受けて現場の「無人化」を進めている。NTTデータはコンビニエンスストア、ドラッグストア、スーパーマーケットなどの小売店に対し「レジ無し店舗」の推進を支援し、2022年末までに1000店舗で導入させる計画だ。同プロジェクトには中国でレジ無し店舗を手がける「雲拿科技(CloudPick)」が技術提供する。

スマートカートの登場は実店舗を運営する小売り業者にとって改革のチャンスだ。物流やネット販売が急速に発展した中国では多くの消費者が便利なオンラインショッピングに鞍替えし、実店舗を構える小売業者が未曽有の打撃を被った。そこで、オンラインとオフラインを融合した新たな業態が「ニューリテール(新小売)」として業界の主流になりつつある。従来型の小売企業が再び活気を取り戻すためにはインターネットという概念を指針に据え、消費者の体験(UX)を重視することが必須だ。アリババ系のシンクタンク「阿里研究院(AliResearch)」はニューリテールについて、三大構成要素である「ヒト、モノ、空間」を再構築し、「消費者ファースト」を実現するものだとしている。

海外でも同様のソリューションを手がける企業が存在する。米シードアクセラレーター「Yコンビネータ」が支援したCaperは今年、シリーズAで1000万ドル(約10億円)を調達した。

今回、超嗨網絡科技に出資した漢朔科技も、小売店舗のデジタル化ソリューションを提供する企業だ。すでに50以上の国・地域の約1万店舗で同社の電子棚札(ESL)などが導入されている。超嗨と漢朔の両社は、国内の小売企業上位100社の6割を顧客とする目標を立て、戦略的提携関係を築いている。
(翻訳・愛玉)

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録