ARグラス「XREAL」、”スマホ型”空間コンピューティング端末を発表 3D撮影も手軽に

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米アップルの空間コンピューティングデバイス「Apple Vision Pro」の中国国内販売が決定したことで、AR(拡張現実)に対する関心が再び高まりつつある。中国発のARグラスメーカー「XREAL」も、3D空間撮影カメラを備えた最新ARコンピューティングデバイス「XREAL Beam Pro」を発表した。これまでのXREALの製品とは大きく異なり、見た目はスマートフォンそっくりだ。

メーカーは通常、ARグラスを薄く、軽量化するために、スマホにコンピューティングデバイスを搭載するか、ARグラスに接続するための専用デバイスを作る。しかし、空間コンピューティングデバイスとして位置づけられたXREAL Beam Proは、それ以上のことを行える。

現時点でARグラスに対応したスマホが数多くある中で、なぜXREALはわざわざスマホに似たデバイスを作ろうと思ったのだろうか。

まず、Beam Proを発売する主な目的は、AR分野の大きな弱点であるコンテンツ不足を解消することだという。Beam Proは2Dコンテンツを直接3Dコンテンツに変えられるため、ユーザーが今持っているコンテンツを最大限に活用できる。そして、2Dコンテンツを3DのARに移植できるようにするため、XREALは新しいオペレーティングシステム(OS)として、米Google(グーグル)のスマホ向けOS「Android」をベースに独自の機能を追加した「nebulaOS」を開発した。

Beam Pro

さらに、XREALが独自のデバイス開発を選んだ理由として、スマホメーカーとARグラスメーカーでは戦略の優先順位が異なることも挙げられる。前者は「スマホにAR機能を追加」する戦略であり、スマートフォンが全てに優先されるが、後者は「ARに他の機能を加える」という考えで、ARが優先される。分かりやすい例はレンズだ。Beam Proは5000万画素の超広角デュアルレンズを2つ搭載しており、2つのレンズ間の被写界深度の差をなくすために両眼ステレオ補正アルゴリズムを用いている。これによりユーザーは没入感のある空間ビデオを撮影することができる。少し癖のあるデザインだが、このレンズデザインは人間の目の瞳孔距離を再現したもので、より立体的で見たままに近い空間ビデオの撮影を可能にした。フレームレートに関しても、Beam Proでは60Hzで3Dビデオを撮影可能で、最大30Hzにしか対応していないiPhoneよりも一歩先んじている。レンズだけを考えても、主要スマホメーカーがARグラスのためだけに、このような特別な設計を施すことはまずないだろう。

また、XREALは開発者と協力してネイティブアプリの数を増やしており、現在ARコンテンツ関連のアプリは十数種類ほどあるという。

しかし、筆者が実際に体験したところ、空間ビデオを撮影するにはかなりのコツが必要であり、近すぎても遠すぎてもダメで、「空間感」を出すためには1メートル程度の距離を保って撮影する必要があることがわかった。これについて、XREAL創業者の徐馳CEOは空間ビデオ技術はまだ初期段階にあることを認めつつ、「それでもガジェットマニアやオタクに刺さってくれたらと思う 」と述べた。徐CEOは、空間ビデオが将来、AR分野で爆発的に活用されていくとも考えている。

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Beam Proの中国版は5月30日に発表され、価格は1299元(約2万7000円)から。日本では6月19日に新製品発表会が開催され、予約販売を開始した。

*1元=約21円で計算しています。

(翻訳・北村一仁)

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