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中国の電気自動車(EV)大手、比亜迪(BYD)がタイで販売台数を急速に伸ばしている。タイ自動車協会によると、2023年の同国のEV登録台数は約7万6千台で、自動車登録全体の12%を占めた。EV販売台数ではBYDの中型SUV(スポーツタイプ多目的車)「ATTO 3(アットスリー)」が1位、コンパクトカー「ドルフィン」が3位となった。
王伝福董事長兼総裁によると、タイ市場の新エネルギー車(NEV)販売で23年1月から1年6カ月連続でトップを続けており、市場シェアの約41%を占め、タイで販売される新エネ車の3台に1台がBYD製だという。
今月4日、同社がタイ東部ラヨーン県に建設した新工場が稼働を開始した。100%出資した初めての海外乗用車工場で、敷地面積は約94万8千平方メートル、年間生産能力は15万台に上り、約1万人の雇用を創出する。新工場で生産される自動車はタイだけでなく、周辺の東南アジア諸国連合(ASEAN)各国へも販売される。
現地市場向けサービスを向上させるため、販売網の整備も進めている。現時点で60県に115店舗、ディーラー27社を有するが、年内に160店舗以上に増やし、1都76県すべてに出店することを予定している。
同工場で生産された「ドルフィン」第1号がラインオフしたことで、同社は世界で初めて800万台目の新エネ車をラインオフさせた自動車ブランドになった。
中国(深圳)総合開発研究院財税貿易・産業発展研究センターの韋福雷主任は「800万」という数字について、単なる数の概念ではなく、中国新エネ車産業の競争力向上を示す重要な印でもあるとの見解を示した。この数字はBYDをはじめとする中国新エネ車メーカーが研究開発、技術、人材などの面で高い実力を備えることを表すと強調した。
ケニアの首都ナイロビで今年2月26日から3月1日にかけて開かれた第6回国連環境総会(UNEA6)では、国連環境計画(UNEP)モビリティー部門トップのロブ・デ・ヨング氏が中国を電動化とEV普及の面でリーダーだと評価した。その上で、中国が世界各国、特にグローバルサウスと経験を共有し、同国の技術を活用して世界に手頃なEVを普及させ、アフリカ諸国がEVの現地製造、現地生産デルを確立することを支援し、「パリ協定』の気温上昇抑制目標の達成に協力することへの期待も示した。
米国の中米研究所(ICAS)の特別フェロー、デニス・サイモン氏は中国新エネ車産業の成功について、国際社会が手を携えて気候変動に対処し、持続可能な発展を促進する上で重要なプラス要因になると評価した。中国新エネ車産業の急成長は交通分野の化石燃料に対する依存度引き下げにおいて有利に働き、二酸化炭素(CO2)の排出を削減し、グローバルな環境問題に対処する上で大きな意義を持つと指摘。それだけでなく、中国新エネ車産業の成功は触媒としての役割も果たし、地域と世界の新エネ車産業の発展促進を後押しするとの見解を示した。
(新華社北京)
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