フォルクスワーゲン、中国の技術を頼りにEVシフト加速へ。エンジニア数百人を小鵬汽車に派遣

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自動車業界の競争が激化するなか、ドイツの自動車大手フォルクスワーゲンが中国の新興EVメーカーとの提携強化に動いており、業界からの注目を集めている。

2024年7月18日にフォルクスワーゲンのエンジニア数百人が中国の新興EVメーカー小鵬汽車(Xpeng Motors)の本社を訪れたことが、大きな話題を呼んだ。フォルクスワーゲンは23年7月、約7億ドル(約1000億円)を投じて小鵬汽車の株式4.99%を取得し、取締役会でオブザーバーの席を1つ確保した。両社はフォルクスワーゲンブランドのEV2車種を共同開発し、2026年の発売を予定している。いずれも小鵬汽車のSUV「G9」用プラットフォーム、スマートコックピット、先進運転支援システム(ADAS)がベースになるという。

目下、この2車種は「V01」「V02」というコードネームで本格的に開発が進められており、生産はフォルクスワーゲンと安徽江淮汽車の合弁会社・大衆安徽が担当する。

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事情に詳しい人物によると、フォルクスワーゲンのエンジニア数百人が小鵬汽車を訪れたのは、両社が手がけるE/E(電気・電子)アーキテクチャ「CEA(China Electrical Architecture)」開発プロジェクトをめぐる面接や研修のためだという。このプロジェクトは、2024年4月に両社の提携範囲をE/Eアーキテクチャにまで広げたことに伴い始動した。小鵬汽車にフォルクスワーゲンのスタッフを迎えたことで、フォルクスワーゲンが中国で販売する全てのEVのE/Eアーキテクチャを小鵬汽車が引き受けることになる可能性もある。

CEAアーキテクチャは、フォルクスワーゲンとそのソフトウエア子会社CARIAD中国、および小鵬汽車が共同で開発に当たっている。公式発表によると、このアーキテクチャは、車内の電子制御システムを簡素化することで使用するコントローラーを30%減らせるほか、自動運転などの機能を遠隔更新できるOTAアップデートにも対応している。

E/Eアーキテクチャは、自動車のスマート化、デジタル化、コネクテッド化の基盤であり、高度な運転支援機能を実現するうえでも重要な役割を担う。スマートカーの要とも言うべき部分だ。

関係者によると、小鵬汽車とフォルクスワーゲンの提携範囲は、中国市場向けEVプラットフォーム「CMP」にとどまらず、グローバル市場向けのEVプラットフォーム「MEB」にまで拡大された。提携の大幅な強化に至った直接的なきっかけは、フォルクスワーゲンが小鵬汽車の開発スピードに目をつけたことだ。フォルクスワーゲンは世界の自動車販売台数ランキングで常に上位に入るメーカーであり、その業績は自動車開発を支える車両プラットフォーム抜きには語れない。ガソリン車全盛期には「MQB」プラットフォームが使用され、EV時代を迎えてからはEV用に「MEB」プラットフォームを打ち出した。

中国市場はフォルクスワーゲンの2023年世界販売台数の約35%を占めており、その重要性は語るまでもない。しかしここ数年、MEB車の開発ペースが中国市場に追いつけなくなってきた。例えば、MEBをベースにした車両の開発には48カ月かかるが、中国メーカーは最短14カ月で新型車の開発を完了できる。しかもMEBの駆動電圧が400Vのままなのに対し、中国メーカーでは新型車のほとんどを800Vに切り替えている。

ここで小鵬汽車と手を組めば、フォルクスワーゲンは技術面で大きなサポートが得られ、中国市場のペースにも追いつけるようになる。

一方の小鵬汽車は、スマート化技術やEV技術が高く評価されているものの、販売台数の伸び悩みに頭を痛めている。小鵬汽車の2024年4~6月期の新車販売(納車)台数は3万207台で、1~7月の累計販売台数は6万3173台にとどまった。4〜6月期の売上高は前年同期比60.2%増、前期比23.9%増の81億1000万元(約1600億円)。純損失は12億8000万元(約260億円)で、前年同期の28億元(約560億円)から縮小した。

小鵬汽車にとっては、フォルクスワーゲンと提携することで資金的・技術的なバックアップが得られるだけでなく、フォルクスワーゲンのブランド力や市場への影響力を生かして自社の市場シェアをいっそう拡大できるというメリットがある。

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フォルクスワーゲンと小鵬汽車との提携は、転換期を迎えている自動車産業を代表する事例と言える。両社はリソースの共有や技術協力を通じ、力を合わせてEVやスマートカーの普及に取り組んでいる。この提携モデルは、従来型の自動車メーカーが新興EVメーカーとの提携を模索するうえで新たなヒントとなるだろう。

*1ドル=約143円、1元=約20円で計算しています。

(翻訳・畠中裕子)

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