次世代のシリコン系負極材料に注力、中国・格源新材料が実用化に向けて技術革新急ぐ

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リチウムイオン電池のシリコン系負極材料を開発するスタートアップ「格源新材料(Geyuan New Materials)」がこのほど、プレシリーズAで数千万元(数億円超)を調達した。出資には天堂硅谷(TTGG Venture Capital)のほか、既存株主の麟閣創投(Kylinhall Partners)が参加した。今年1月にもエンジェルラウンドで数千万元を調達しており、この半年余りに調達した資金は、総額1億元(約20億円)ほどになる。

格源新材料は、高性能のシリコン系負極材料を開発する企業として2023年8月に設立され、多孔質炭素やCVD(化学気相堆積)装置、新たなシリコン炭素負極材料の産業化に注力している。

同社のシリコン炭素負極材料と多孔質炭素は、充放電効率や伝導率、細孔構造などに優れており、現時点でそれぞれ100トン規模の生産能力を有する。目下、それぞれ500トン規模の生産ラインを建設中で、年内にも操業を始めるという。新たな生産ラインが完成すれば、生産能力が低く連続生産が難しいという業界の常識を打破することができ、2025年に1000トンの生産ライン建設を目指す同社にとっても強固な基礎を据えることになる。

リチウムイオン電池の充放電プロセスで重要な役割を担う負極材料は、電池のエネルギー密度やサイクル寿命、安全性、急速充電などの性能に直結する。現在主流の黒鉛材料に比べ、シリコン系負極材料はエネルギー密度が高く、急速充電性能に優れ、材料も豊富といった特長があり、次世代の負極材料として最も有望視されている。

リチウムイオン電池用のシリコン負極材、生産拡大に注力する中国企業が存在感

業界調査機関の高工鋰電(GGII)によると、シリコン系負極材料の普及率は2024年までは5%に満たなかったが、25年には10~15%に高まる見込みで、23~29年の年平均成長率は42%に達すると予測されている。

複数あるシリコン系負極材料の調整法のうち、格源新材料はCVD法を採用。創業者の徐泉氏は「我が社の主な競争力は、原材料から製品、生産設備に至るまで独自開発を貫いたことにある」と語る。

格源新材料は、設立当初からCVD法を用いたシリコン炭素材料の開発に専念してきた。コアチームにはシリコン系負極材料の基礎研究や生産設備開発、プロセス化などで経験豊富なスタッフが集まり、短期間のうちにシリコン炭素材料に関わる多くの技術でブレークスルーを成し遂げた。すでに主要顧客へのサンプル送付を開始しており、顧客から一定の評価を得ている。

今後の展望としては、2025年の1000トン生産ライン建設と製品開発に向けて、24年末に新たな資金調達を予定している。また、コスト削減・効率化を進めながら製品開発や技術革新に力を注ぎ、新たなシリコン系負極材料の大規模な活用を支援していく方針だという。

*1元=約20円で計算しています。

(翻訳・畠中裕子)

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