ドバイ最大のテック舞台に「J-Startupパビリオン」登場。賞金10万ドルのピッチ大会、日本から2社が決戦へ

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ドバイ最大のテック舞台に「J-Startupパビリオン」登場。賞金10万ドルのピッチ大会、日本から2社が決戦へ

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ドバイで開催される世界最大級のスタートアップイベント「GITEX Expand North Star」が今年も10月13日から18日にかけて開催され、世界中のイノベーションをけん引するスタートアップが展示やピッチを行った。日本発スタートアップもJETROが推進役となり、過去最多となる22社がドバイに集結、「J-Startupパビリオン」で出展するだけでなくピッチ大会にも挑んだ。

日本のスタートアップでGITEXに出展した経験のある企業はまだ少ないが、実際に参加した様子や反応などを紹介する。

【ドバイ現地レポ】中東最大のテックイベント「GITEX GLOBAL 2024」に世界6500社集結、日本スタートアップも注目

AI×VRで医療現場の効率化を実現するHoloeyes

Holoeyes株式会社は、医療分野での3D可視化技術を提供するスタートアップだ。患者のCTやMRIデータを3Dモデルに変換し、医師や医療従事者が治療計画を立てやすくするためのツールを開発する。手術前のシミュレーションやトレーニングに利用され、医療現場の効率化と精度向上に大きく寄与している。特に、AIやVR(仮想現実)技術との組み合わせにより、医療の未来を切り拓く革新的なソリューションを提案している。

ドバイ現地ではR&D担当の末吉氏がブース対応、白衣姿でヘッドセットをつけて実演する様子に、通行人も足を止め、矢継ぎ早に質問をしているのが印象的だった。中東地域やインドの来場者がメインで、1日に100人以上は話しかけられたという。今回のGITEXでは、中東での販売に繋がるディストリビューターを探しているというが、そこにピンポイントでマッチする人との出会いは1日数名と確率的にはそれほど高くないかもしれない。それでも熱量を感じる来場者が多く、また日本では得がたい人脈形成ができているということで、今後の展開にも期待がかかる。

展示ブースで実演中の末吉氏

注目のピッチ大会「Supernova Challenge」で日本発スタートアップ2社が躍動

展示以外に世界中のスタートアップが参加するピッチ大会が行われた。GITEX 2024の「Supernova Challenge」は、中東・アフリカ・南アジア最大級のスタートアップピッチ大会で、600社以上が参加。決勝には22社が進出し、優勝賞金10万ドルのグランプリを目指して競い合った。審査員にはTechCrunchの編集長マイク・ブッチャー氏やUAE政府系アクセラレーター「Hub71」、米国トップVC「Bessemer Venture Partners」をはじめ国際的なエキスパートが参加し、その評価基準とともに出会える投資家らのレベルの高さも魅力だ。スタートアップにとって海外の著名投資家との接点をつくる重要な場であり、ドバイが世界的な技術革新のハブであることを証明する大会となっている。日本発スタートアップも決勝に2社が残り存在感を発揮した。

腸内細菌を活用した画期的な治療法を提案する「メタジェンセラピューティクス」

まず1社目のメタジェンセラピューティクス(MGTx)株式会社は、腸内細菌を活用し、次世代の画期的な治療法を開発しているバイオテクノロジー企業だ。ピッチ担当の社長室の高見氏は、同社が特に注力していることとして腸内細菌叢移植を挙げた。これは健康な人の便に含まれている腸内細菌叢を、疾患を持つ患者の腸に移植し、バランスのとれた腸内細菌叢を再構築する治療方法で、完治が難しいと言われる潰瘍性大腸炎の治療に取り組んでいる。

同社の強みは、健康な人の便の収集まで手掛け、健康な便とそれを必要とする患者までのサプライチェーンを既に構築しているところにある。今後は腸内細菌叢移植を起点とした創薬の領域でも事業を広げていく構想だ。

そのユニークな事業のピッチは、審査員や来場者からの反応も上々だった。興味津々の審査員たちは高見氏に次々と質問を投げかけた。また、JETROは今回のドバイ訪問に合わせて現地の有力VCや政府機関を紹介し、投資家との個別面談やVC主催のパーティーに参加することができ、目的の一つである海外投資家からの資金調達にも弾みがついたという。

ニューヨーク在住歴が長い高見氏によれば、「ドバイはニューヨーク以上に人種のるつぼ、GITEXは世界に繋がる窓口」だという。中東といってもUAEやサウジアラビア、カタールなど様々な国があり、またインド系やアフリカ系も多い。UAEでは優秀な外国人起業家らへの特別ビザの発給も行っており、中国をはじめアジア系の人材も多かった。

展示ブースにいる高見氏
ピッチ大会でプレゼンする高見氏

・シンガポール発スタートアップが日本でチャレンジする新素材の開発支援「POLYMERIZE」

2社目のPOLYMERIZE合同会社は、主に化学会社などにAIを活用した材料開発のプラットフォームを提供することで、R&Dプロセスのデジタル化や効率化、低コスト化に貢献するスタートアップだ。同社はシンガポール人のKunal Sandeep氏とAbhijit Salvekar氏がシンガポールで創業したが、日本企業の顧客が多いことから日本にも法人を設立した。

今回GITEXには、中東の石油会社などとの繋がりを求めて参加したという。営業担当の魚住氏によれば、毎日数十人がブースを訪れ、AI活用に対する関心は非常に高いと感じたそうだ。絶対に日本で出会うことができない興味深い訪問者としてドバイ警察の研究開発担当を挙げた。事件・事故の原因や証拠を科学的に解明するために最先端の研究をしており、同社のソリューションにも強い関心を持って話を聴いていたという。また、事前にGITEXの担当者が同社のソリューションに関心がある見込客らを5社ほどマッチングしてくれたようで、そちらは特に確度の高い面談ができたという。今後の中東での事業拡大に向けて早速動き出す。

ピッチ大会でプレゼンするAbhijit Salvekar氏

今年のピッチ大会で優勝したのはラトビア発のスタートアップ「Longenesis」だった。ブロックチェーン技術とAIを活用し、医療機関向けに安全なデータ共有ソリューションを提供するスタートアップだ。残念ながら日本からの2社は表彰には至らなかったが、日本発スタートアップの技術の高さや事業のユニークさは来場者の印象にも残っただろう。

優勝賞金10万ドルを獲得したラトビア発ヘルスケアスタートアップ「Longenesis」

(36Kr Japan編集部@GITEX Expand North Star 2024)

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