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中国ではここ数年、国内大循環を主体とし、国内と国際の双循環を互いに促させる新たな発展の枠組みのもと、中国企業が質の高い発展と新たな成長分野を求める上で「ブランドの海外進出」を戦略的なチャンスとすることが市場の共通認識になりつつある。
中国の電気自動車(EV)大手、比亜迪(BYD)の李雲飛ブランド・広報部総経理はこのほど、同社の輸出台数は22年の5万台から23年には24万台に増加し、今年はさらに多い50万台を見込むと明らかにした。このデータは「メイド・イン・チャイナ」の消費財の海外進出が加速していることを証明する。
今年の政府活動報告では、国際的影響力のある「メイド・イン・チャイナ」ブランドを増やし、質の高い「一帯一路」共同建設の徹底を推進する方針が打ち出された。これにより、企業の海外進出は政策面で良好な条件が整えられている。
業界関係者によると、中国は国連国際標準産業分類の全ての工業分類を網羅する世界唯一の国であり、約220種類の工業製品の生産量で世界一を誇る。強大なサプライチェーンとデジタル技術の急速な発展が相まって、中国企業の生産とサービスの能力は一層世界に広がり、経済のグローバル化を推進する大きな力になっているという。
23年に中国が対外直接投資を行った境外(外国と中国香港・マカオ・台湾地区)の非金融企業数は7913社だった。22年より1500社近く増加し、伸びは過去最高を更新した。今年1~8月の数値は比較対象となる前年同期の水準が高かったにもかかわらず、さらに20.0%増加している。
中国製品の海外進出が加速すると同時に、サプライチェーンを海外に進出させ、現地側と共同で産業パークや人材育成拠点を建設する中国企業も増え続けている。
その典型例の一つがエジプトの紅海沿岸の砂漠地帯に位置する「中国・エジプトTEDAスエズ経済貿易協力区」だ。この協力区は「一帯一路」共同建設における中国とアフリカ間協力のモデルプロジェクトであり、中国とエジプト間の経済・貿易協力、生産能力協力を推進する重要なプラットフォームでもある。
協力区の投資・運営を担う中非泰達投資の李代新董事長によると、同協力区には9月末時点で175社が入居している。投資額は約30億ドル(1ドル=約151円)、累計売上高は約49億ドルに上り、現地に1万人近くの雇用をもたらした。
李氏は今年9月に北京市で行われた中国・アフリカ協力フォーラム(FOCAC)に触れ、「フォーラムの期間中、当社は業界大手6社と10億ドルを超える契約を締結した。内容は太陽光発電用ガラスや太陽電池セル、家電サプライチェーンなどに及び、生産開始後はエジプトでの約3千人の雇用創出を見込む」と明かした。
越境電子商取引(EC)も中国の消費財ブランドが海外に進出する重要なルートとなっている。中国市場で約20年にわたり事業を展開する米EC大手イーベイ(eBay)では今年半ば、中国向け海外倉庫サービスの業務量が爆発的に増加した。
ますます多くの地方が越境ECの発展を重視し、力を入れている。天津市商務局の王亜剛副局長によると、市内の越境ECを手がける各種主体は5千を超え、越境EC実証パークは6カ所に上る。海外倉庫も45カ所設置し、ウズベキスタンを中心とする中央アジアとの「シルクロードEC」の生態系を形成しているほか、南米やブラジルへの直行便が就航するなど、海外進出における新たな優位性を育成している。
商務部のデータによると、23年の中国輸出の世界シェアは14.2%で、モノの貿易では7年連続で世界一の座を維持した。税関総署のデータでは、中国の1~9月のモノの貿易額は前年同期比5.3%増の32兆3300億元(1元=約21円)、うち輸出は6.2%増の18兆6200億元だった。(新華社天津)
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