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生命科学(ライフサイエンス)分野の研究自動化(ラボオートメーション)に注力する中国企業「奔曜科技(Bioyond Robotics)」がこのほど、シリーズA3で数億元(数十億円超)を調達した。磐霖資本(Panlin Capital)が出資を主導し、啓明創投(Qiming Venture Partners)と博遠資本(BioTrack Capital)が追加出資を行った。資金は技術開発や製品の開発・生産、市場開拓などに用いられる。
奔曜科技は2021年3月に設立され、科学研究の実験室や臨床診断の検査室など向けに、先端ロボット技術や高精度の視覚認識にAI技術を組み合わせた自動化設備とソリューションを提供している。創業者の湯陽CEOは、産業用ロボット大手のスイスのABBロボティクスで中国エリア開発センター総裁などを務めた経歴を持つ。
生命科学の研究や実験では、手作業による液体の移動や混合、実験経過の記録など大量の反復作業が必要とされ、非効率的でエラーも起きやすかった。特に新型コロナウイルス感染症の大流行を受けて、生命科学分野での実験自動化の必要性が再認識された。
湯CEOは、生命科学の研究現場がいま大きな変革期を迎えており、その中心的な役割を担っているのがスマート化と自動化技術だと指摘する。同社は最先端の自動化設備やソリューションを提供し、研究者たちが煩わしい反復作業から解放され、研究そのものに集中できるようサポートしたいと考えている。
同社はロボット技術や視覚認識、AI技術を統合し、膨大な業界データとトップクラスのアルゴリズムを活用することで、専門知識を持つ推論型の実験ロボットを開発することに成功した。さまざまなニーズを満たせるよう、汎用型実験室用ロボット「LabGenius」、ワンストップ型実験室用ソフトウエア「LabMind」、コンパクトな自動化設備「LabMate」の3シリーズを展開している。
2024年9月末には、新製品の液体ハンドリングロボット「LabGenius G3」と小型搬送ロボット「LabGenius S4」を発表した。使用者を選ばない使い勝手の良さが売りのLabGenius G3は液体系の実験に関わる作業を無人で行うもので、ピペットやグリップなど基本モジュールのほか、振とうや温度管理といった機能モジュールを自由に組み合わせることで、さまざまなニーズに対応できる。
コンパクトで設置が簡単なLabGenius S4は、実験に使用する材料やサンプルを高速かつ正確に運ぶ。実験効率を高めるだけでなくサンプル保護の機能も備えており、突発的な停電や緊急停止時にも安定した動作を保ち、実験サンプルや試薬のロスを防ぐことができる。
小型の自動化設備を販売するほか、大型自動化設備のオーダーメード開発も手がけている。これまでに薬剤スクリーニングや合成生物学、遺伝子細胞治療、組織学研究、応用化学、臨床診断などの分野で大型プロジェクトを受注してきた。
奔曜科技は欧州や米国などにも子会社を設立し、製薬や材料工学、農業、臨床などを手がける1000社以上にサービスを提供しているという。
*1元=約22円で計算しています。
(翻訳・畠中裕子)
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