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中国ネット大手のバイトダンス(字節跳動)が運営する海外向けの動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」が米国での利用禁止令による危機が解決しないうちに、カナダでの事業も打撃を受けている。
現地時間11月6日、カナダ政府はTikTokのカナダ法人「TikTok Technology Canada」に事業終了を命じたと発表した。カナダ事務所は閉鎖するが、カナダのユーザーは引き続きTikTokにアクセスし、プラットフォーム上でコンテンツを作成することができるという。
カナダのイノベーション・科学・産業相を務めるシャンパーニュ氏は発表の中で、政府はカナダ投資法(Investment Canada Act)に基づき今回の決定を下したと述べた。 同法は、カナダの安全保障を損なう可能性がある海外からの投資を政府が審査することを認めている。
これに対し、TikTokカナダの広報担当ダニエル・モーガン氏は「TikTokのカナダ事務所を閉鎖することは、数百人もの現地の高所得の雇用を破滅させることになり、誰も得しない。」と述べた。
TikTokにとってカナダでの挫折はこれが初めてではない。 2023年2月、カナダ政府はすべての政府が所有するデバイスでのTikTokの使用を禁止し、同年末にはTikTokアプリに対して安全保障上の調査を命じた。
この危機を受けて、TikTokは海外での現地化も加速させている。 バイトダンスの関係者によると、2024年1月18日に同社はカナダやオーストラリアなどに研究開発センターを建設する準備を進めており、将来的にはTikTok、動画編集アプリ「CapCut(キャップカット)」、ライフスタイル共有SNS「Lemon8(レモンエイト)」など多くの海外事業の研究開発を支援するとしていた。 しかし、これらの動きは欧米でのTikTok禁止の決定を変えることはできなかった。
国際情勢が厳しさを増しているとはいえ、TikTokはやはりバイトダンスの稼ぎ頭となっている。 米メディア・The Informationによると、バイトダンスの2024年1~6月期の海外収益(主にTikTokによる)は60%以上増の約170億ドル(2兆6000億円)に達した。禁止令の影響を受けながらも、TikTokが依然として堅調な成長を見せた。
カナダはTikTokの主要市場ではない。 独調査会社スタティスタ(Statista)によると、2024年4月時点で、TikTokの月間アクティブユーザー(MAU)数は全世界で15億6000万人、最も多いのは米国で約1億5000万人だった。
バイデン米大統領は2024年4月、議会で圧倒的な支持を得た「敵対する外国の勢力が管理するアプリケーションから米国人を保護する法律(TikTok 禁止法)」に署名した。 この法律は、ロシア、中国、イラン、北朝鮮といった敵対国からのアプリの米国内での運用を禁止している。
当局は新法を適用してTikTokの親会社バイトダンスに対し、中国以外の企業にアプリを売却するか、さもなければ利用禁止措置を受けるように命じた。 バイトダンスは2025年1月19日までにこれを実行しなければならない。 これに対しバイトダンスは、先に可決された「売却しなければ、利用禁止」の法律に異議を唱える訴訟を米国裁判所に起こした。
11月6日、ドナルド・トランプ氏が2024年の米大統領選に勝利した。 トランプ氏の勝利はTikTokの運命とも密接に関連している。
選挙期間中、トランプ氏は現地時間7月16日にメディアに対し、バイデン政権が署名したTikTokを「売却しなければ、利用禁止」の法律に反対し、この動画共有プラットフォーム企業を支援すると主張した。 しかし、トランプ氏は2020年の大統領在任当時には、安全保障を口実にTikTokを禁止しようとしており、新大統領に返り咲いた後もトランプ氏が約束を果たすかどうかは未知数だ。
*1ドル=約155円で計算しています。
(36Kr Japan編集部)
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