ブランド中古品のEC「包大師」がシリーズA+で数十億円を調達  正規品並行輸入で流通を効率化

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高級ブランド品関連のサービスを提供する「包大師(MASTER BAO)」がシリーズA+で数億元(数十億円)を調達したことが分かった。リードインベスターは「華映資本(Meridian Capital)」、コ・インベスターは「玖創資本(9C Capital)」で「北京明希資本管理(Beijing Ming capital management)」が単独で財務アドバイザーをつとめた。同社は昨年10月にも「青松基金(Qingsong Fund)」と「不惑創投(Buhuo Ventures)」からシリーズAで3000万元(約4億6000万円)を調達している。

2016年創業の包大師は、高級ブランド品のメンテナンス、リユース、受託販売を手がける総合サービスプラットフォーム。高級ブランド品のメンテナンス事業としてスタートし、数十の優良工房と平均5年以上の経験をもった技術者1000人と提携している。有名ブランドのアフターサービスを担当するトップクラスの人材も抱える。同社はその後ラグジュアリー品の中古取引も手掛けるようになり、2018年の売上高は1億5000万元(約23億円)、2019年には5億元(約77億円)を超える見込みだ。

昨年の資金調達以降、事業はBtoCを中心としていたものからBtoBへと拡大している。創業者兼CEOの納蘭正秀氏は、主な取り組みと進展について次のように説明した。

1.アプリユーザーが70万人から200万人に拡大した。

2.メンテナンスサービスから中古ラグジュアリーEC事業へとつなげることで、EC事業の取引高は月6000万元(約9億円)に達した。

3.法人向けサービスから産業チェーンに深く入り込み、ブランド公認の「輸入高級ブランド品サプライチェーン・プラットフォーム」の構築と運営に参与した。

包大師は10月、上海市の保税エリア「上海外高橋保税区」を運営する政府系の「上海外高橋集団(SHANGHAI WAIGAOQIAO FREE TRADE ZONE GROUP)」と提携し、政府お墨付きで「高級ブランド並行輸入品取引プラットフォーム」を設立。ジュエリー、腕時計、かばん、アパレルなどのテナント100社近くが既に加盟しているという。また輸出入取引ビッグデータセンター、国家レベルの法定鑑定研究室も設立した。

同プラットフォームは、各ブランドの中国総代理店を通さない並行輸入スキームで、合法的に通関を経ることが特徴的だ。「高級輸入品」として通関手続きをおこない、その取引サービスも提供する。

これまで消費者はブランド品の真贋鑑定やメンテナンス面で困難を抱え、輸入品の購入にリスクを感じていた。しかし、ラグジュアリー品の輸入関税が引き下げられたことを背景に、正規輸入を通じて提供される販売サービスは製造国が確かなうえ、正規品である保証も確実なこと、また中間卸売り業者が省かれることもあり、流通の透明性が高まり、結果的に消費者の購入意欲を刺激する効果がある。

今回、包大師が上海外高橋集団の自由貿易区と共同で、正規の並行輸入サプライチェーンを手掛ける理由はそこにある。

同社はブランド公認プラットフォームを通じて、長年にわたり蓄積してきたサービスデータ、ITシステム周りの実力を大いに活用し、プラットフォームや関連企業のためサービスを提供、プラットフォームの運営効率を向上させる。

また、政府系との提携は業界のリーディングカンパニーとの関係づくりにも影響する。納蘭正秀氏は、データプラットフォーム、取引管理プラットフォーム、国家レベルの鑑定認証手続きを整理して業界の標準規格を確立し、アリババ、京東(JD.com)、バイトダンス(字節跳動)など大手IT企業と連携したいと考える。大手企業により多くの収益化ツールを提供するだけでなく、「海外の供給源―税関(通関)―国家レベルの鑑定―ユーザー」という流通サイクルを形成することで、中国の法人ユーザーの取引効率を向上させ、ラグジュアリー産業の価値を掘り起こすのだという。
(翻訳:貴美華)

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