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資生堂が発表した2024年1〜9月の売上高は実質前年同期比3%減の7228億円とほぼ前年水準を維持したが、本業のもうけを示すコア営業利益は25.6%減の274億円と大幅に落ち込んだ。地域別では、日本の売上高が前年同期比で10%増加したものの、中国は8%減、米州は7%減となった。トラベルリテール(空港や市中にある免税店での化粧品販売)は27%の大幅減収だった。
直近の7~9月期では、中国市場は13%減、米州市場は9%減、EMEA(欧州・中東・アフリカ)市場は7%減となった。さらに、トラベルリテールは38%の大幅減収だった。
資生堂は業績不振の主因として、利益率の高いトラベルリテール事業の低迷を挙げている。とくに、「中国のハワイ」と呼ばれる海南島での売上高が30%減少した。中国経済の低迷や消費者行動の変化による消費低下が響いたとみられる。
中国は資生堂にとって最大の海外市場だが、1〜9月は8%の減収となった。主力ブランド「SHISEIDO」の売上高の落ち込みが大きかった。一方で、高級ブランドの「クレ・ド・ポー ボーテ」と「NARS(ナーズ)」は堅調な伸びを示した。同社はこれを受け、高級スキンケアブランド「THE GINZA(ザ・ギンザ)」など、より多くの高級ブランドを中国市場に投入し、アリババグループの「天猫(Tmall)」など電子商取引(EC)サイトでの販売を強化する。
資生堂は11月末、業績の立て直しに向けた構造改革の内容を発表した。2024年から25年の2年間で、日本と中国を中心に400億円超のコスト削減を目指し、中国では組織の最適化、不採算店舗の閉鎖、ブランドの選択と集中に注力するという。すでに高級スキンケアブランドの「BAUM(バウム)」の中国販売から撤退したほか、「IPSA(イプサ)」の販売網を縮小している。
多くの日本ブランドが中国市場で苦戦する中、資生堂は11月に開かれた中国国際輸入博覧会で「資生堂は中国市場に進出して40年以上になるが、中国への投資に対する信念と決意は揺らいだことがない」とし、中国市場への長期的な投資に対する意志を改めて強調した。
(36Kr Japan編集部)
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