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中国自動車業界の価格競争はますます激化し、特に年末が近づくにつれ、多くの自動車メーカーが値下げや販促キャンペーンを続け、ラストスパートをかけて販売量の増加を獲得しようとしている。
消費者にとって値下げは喜ばしいことだが、自動車メーカーの利益の減少によるマイナスの影響もあり、最終的には自動車メーカーや下請けの部品メーカーがツケを払うことになる。
大手EVメーカーのBYD(比亜迪)が部品メーカーに値下げを求めるメールがインターネット上に流出し、波紋を広げた。その内容には「BYDの乗用車の競争力を高めるため、サプライチェーン全体で協力してコスト削減を継続する必要がある。その一環として、すべての部品納入業者に対し、2025年1月1日以降10%の値下げを実施する」と記されていた。この通知にはBYD執行副総裁で、乗用車部門最高執行責任者(COO)の何志奇氏の署名が入っていた。
これに対し、一部の部品メーカーは強い不満を表明し、「短期的利益のために搾取するようなやり方をやめ、サプライチェーン全体の健全な発展を促進すべきだ」と抗議した。一方で、BYDの広報責任者の李雲飛氏は、部品メーカーとの毎年の交渉は単なる「業界慣行」であり、我々が提示した値下げ目標は強制的な要求ではなく、双方が協力して推進するものだと説明している。
自動車の価格競争で首絞める部品メーカー
BYDに限らず、ほかのメーカーでも同様のことが起きている。中国証券報によると、自動車大手の上海汽車集団(SAIC)傘下の商用車メーカー「上汽大通汽車」も「10%のコスト削減」を求める通知を出している。複雑な市場環境の中で生き残りを図るために、材料コストの引き下げや、生産プロセスの改善を目指して部品メーカーの支援を期待しているという。
2024年には多くの新型EV車種が市場に投入され、供給が需要を上回る状況が続いている。こうした中で、自動車メーカーは市場シェアを確保するために価格競争を避けられず、結果的に部品メーカーに値下げ圧力をかける悪循環が生じてしまう。
例えば、ドイツのボッシュ中国法人の徐大全総裁は、「2023年の値下げ競争により、ボッシュは平均15%の値下げ要求を受けた。2024年には20%の値下げを求められ、もはや休業する方が得策だ」と厳しい実情を語った。
こうした価格競争の中で、部品メーカーの苦境がいっそう深刻化している。報道によると、かつてトップシェアを誇った自動車内装材メーカーの「上海国利汽車真皮飾件」では、賃金の支給が遅れ、多くの従業員が本社前で抗議する事態となっているという。
さらに、自動車メーカーが独自の技術開発を進めることで部品メーカーとの協力関係を希薄化させ、部品メーカーがより受け身の立場に追い込まれるケースも増えている。
サプライチェーンの健全な発展こそが王道
このままでは、部品メーカーが価格競争の無限ループに巻き込まれ、「破滅への道」を歩む可能性が指摘されている。こうした困難を乗り越えるため、技術革新と製品のコストパフォーマンス向上に注力している部品メーカーもある。たとえば、自動運転向け人工知能(AI)チップメーカーである「地平線機器人(Horizon Robotics)」がリリースした「征程6」シリーズは、ハードウェアコストを40%削減する高度な統合設計を採用し、業界内で注目を集めている。
自動車メーカーの値下げ圧力により、強みのない企業は最終的に淘汰されるかもしれない。業界関係者は、自動車メーカーには部品メーカーの技術革新を支援し、供給網全体の発展を促す責任があると指摘もした。
値下げ交渉は業界の慣行だが、ただ単に消費者のニーズに応えるだけでなく、サプライチェーン全体の持続可能な成長を目指すことが、今の中国自動車メーカーが心がけるべきことだろう。
*1元=約21円、1ユーロ=約160円で計算しています。
(36Kr Japan編集部)
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