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リリースから10年が過ぎ、すでにピークを迎えたPCゲームが、どのように再活性化できるのか。ゲーム「リーグ・オブ・レジェンド(League of Legends、以下LoL)」が出した答えは、モバイル展開、IP開発、ゲームジャンルの多様化だ。
10月16日、LoLグローバル10周年記念式典で、開発会社のRiot Gamesは当該タイトルのモバイル版や、IPを使用したマネジメントゲーム「LoL eスポーツマネージャー」、カードストラテジーゲーム「Legends of Runeterra」を発表した。また、公開されたトレーラー映像のなかには、LoL のIPを使用したFPS(First-Person Shooter)ゲーム、格闘ゲーム、アニメ作品も含まれていた。
Riot中国エリア担当者の林松氏によると、今後同社ではマーベル・ユニバースを目標に、LoLの世界観に基づくコミック、テレビ番組や映画を製作していきたいと考えているという。
LoLは2009年にリリースされ、2011年に中国に進出。月間アクティブユーザーは2016年の時点ですでに1億人を超えている。
2017年、LoLのeスポーツイベント「S7世界大会決勝戦」が中国で行われ、中国のチーム「RNG」と「WE」がベスト4進出を果たした。中でも、準決勝のRNGの試合は、8000万人がオンラインで視聴するという記録を打ち立てた。
2018年のアジア大会において、LoLはエキシビジョン種目として登場し、中国代表が金メダルを獲得。その後のS8世界大会決勝戦においては、中国の「Invictus Gaming eスポーツクラブ」が優勝に輝いた。中国のチームがLoLの最高ランク大会で優勝したのは史上初だ。
2019年初頭、オートチェスタイプのゲームが人気になると、LoLもすぐにモバイル端末に適した「TFT(チームファイトタクティクス)」モードを発表し、全世界での同時接続人数が800万を超えた。これにより、モバイル版を製作することの重要性がより明らかになったのだ。
しかし、LoLとしては、ファンが多いと言えども、同じく「テンセント(騰訊)」が運営する「王者栄耀」が絶対的な強みを誇るMOBA(Multiplayer online battle arena)ゲーム市場への登場はあまりにも遅すぎたのではないだろうか。
2018年、テクノロジーメディアのThe Informationが、テンセントと、彼らが2011年に買収し子会社となっていたRiot Gamesの不仲を暴露した。不仲の原因は、モバイル版のLoL(後の王者栄耀)の著作権をめぐるトラブルだ。
この報道によると、テンセントはいち早くモバイルゲームのポテンシャルに気づいたが、当時のRiotはLoLのモバイル版制作に反対だった。そこでテンセントは独自にLoLのモバイル版を開発することにしたが、Riotの従業員はこれにも反発した。交渉の結果、テンセントはゲーム内容を変更し、LoLと区別した形で王者栄耀を発表したのだ。王者栄耀はその後中国で人気が沸騰し、2017年に世界トップの売上高19億ドル(約2100億円)を記録し、テンセントはこれによりモバイルゲーム時代でも、ゲーム会社として売上高世界トップの座を守りつづけることができた。
一方、Riotは2016年にピークを迎えた後、モバイルゲーム流行の煽りを受け、リストラやユーザーの減少も経験した。10周年記念イベント前まで、RiotからはLoL以外のゲームは何も発表されていなかった。
しかし、テンセントとRiotの関係はどうやら好転したようで、Riotの開発力も再び爆発の機会を迎えた。今年1月、「騰訊互娯(Tencent Interactive Entertainment)」とRiotは上海で合弁企業「騰競体育(TJSprots)」を設立し、LoLに関するeスポーツ大会の運営を行うことになった。それに続いたのが、Riotからの一連の新作ゲームと新企画の発表だ。特にLoLのモバイル版は、ユーザーがよく知るテンセントスタイルのゲームそのものだ。
王者栄耀とLoLモバイル版は、片や3年間トップであり続け、片やPC時代から蓄積してきたグローバルでの影響力を持つ。テンセントのゲーム同士による新たなレースがまもなく始まるのだ。
(翻訳:小六)
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