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中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が主導する電気自動車(EV)ブランド連合「鴻蒙智行(HIMA)」に、中国自動車大手の上海汽車集団(SAIC)が新たに加わる。両社は新ブランド「尚界」を共同で立ち上げ、ファーウェイがインテリジェント技術を搭載した部品やシステムを提供する。
上海汽車は2024年の中国新車販売でEV最大手の比亜迪(BYD)に抜かれ、長年守ってきた首位の座から陥落した。ファーウェイとの提携を通じて、巻き返しを図る狙いだとみられる。
EVブランド連合「鴻蒙智行(HIMA)」とは
「鴻蒙智行」は、ファーウェイと自動車会社が協力し、新たなEVブランドを共同開発する仕組みだ。 ファーウェイは車載OS「HarmonyOS 4.0」、運転支援システム「Huawei ADS 2.0」、スマートコックピットといった中核技術に加え、販売チャネルやマーケティングも提供。提携相手の自動車メーカーは製造とブランド運営を担う。
現在、鴻蒙智行に参加している主なモデルとブランドは以下の通り:
- 問界AITO (賽力斯/SERES) – M5、M7、M9などのモデルを発売。
- 智界S7(奇瑞汽車/Chery Automobile)
- 享界S9(北京汽車集団/BAIC)
- 尊界S800(江淮汽車/JAC)(2025年上半期発売予定)
なかでも、AITOブランドは特に大きな成功を収め、2024年の販売台数は44万台に達した。そのうち、M7は19万7000台、M9は15万8000台を記録した。
新ブランド「尚界」、若年層をターゲットに
複数の業界関係者によると、「尚界」ブランドの価格帯は17万元(約357万円)から25万元(約525万円)で、若い消費者をターゲットとしているという。 ただし、上海汽車の責任者は、若者に狙いを定めているものの、「低価格帯ではなく、ミドルレンジ市場を狙う」と説明している。
尚界の第一弾モデルは、上海汽車の傘下のEVブランド「飛凡汽車(Rising Auto)」の既存の開発プラットフォームを活用する方向だ。関係者によると、最初のモデルは外観デザインにおおきな変更なく、ファーウェイの電子機器とインテリジェント技術の導入が核心になるという。 ファーウェイは、製品とマーケティングにおける経験を活かして、新モデルをブラッシュアップし、2025年10~12月期に市場に投入する計画だ。
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急ピッチで進む協力体制
ファーウェイはすでに人員を派遣して業務のすり合わせを開始しており、上海汽車側も数百人のチームを立ち上げてプロジェクトの推進に備えている。
上海汽車は、販売減少の圧力にさらされている。BYDが2024年に427万台の年間販売台数を記録し、上海汽車から中国自動車販売台数トップの座を奪った。
さらにBYDは2月10日に、全モデルにハイレベルな運転支援システム(ADAS)を値上げせずに搭載すると発表し、これにより、インテリジェントEVの普及が加速し、市場競争が一層激化している。
上海汽車はは15万元から25万元の価格帯で、BYDはじめとするライバルの猛攻に対抗するために、技術、製品、ブランド力において総合的なレベルアップが求められる。「尚界」の成功が、上海汽車の今後の競争力を左右する重要な鍵となりそうだ。
*1元=約21円で計算しています。
(36Kr Japan編集部)
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