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米電気自動車(EV)大手のテスラが、独自の高度運転支援システム「FSD(フルセルフドライビング)」の中国市場導入に向けて一歩踏み出した模様だ。
同社は2月25日、中国のテスラ車向けソフトウエアの最新アップデート「2024.45.32.12」の配信を開始した。今回のアップデートでは、市街地向け運転支援機能(NOA=ナビゲート・オン・オートパイロット)、運転者モニタリング用の車内カメラ、最新バージョンの地図が追加される。
アップデートされた機能は、北米で提供しているFSDに似ているが、FSDという名称は用いていない。新たなソフトウエアを利用し始めた中国のテスラ車オーナーによると、新機能は中国の交通ルールや道路状況に対応し、すでに高い性能を発揮しているという。
テスラのFSD導入が中国市場で現実味を帯び始めたのは2024年初頭からだ。。24年3月に発表したFSDベータ版のバージョン12.3は、車両の周囲の状況認識から操作までを人工知能(AI)が担う「エンドツーエンド(E2E)」を実現し、北米市場で好評を博したことから、中国の自動運転業界にもE2E技術を採用する動きが広がった。また、イーロン・マスクCEOは24年4月に中国を訪問した後、X(旧ツイッター)でフォロワーの質問に答え、「近いうちに中国でもFSDを使えるようになる可能性がある」と発言し話題を集めた。さらに、マスク氏は24年7月の決算説明会で、欧州と中国の規制当局にFSDの認可を申請しており、24年中に認可される見通しだと説明したが、現時点では実現していない。
2025年2月には、テスラが25年4~6月期にも中国でFSDの大規模テストを実施する許可を受ける見通しだと報じられた。しかし、規制当局は依然として明確な承認スケジュールを示していない。そんな中、同社は2月25日、中国でFSDに似た機能をリリースした。
FSDは、車両がリアルタイムで大量のデータを処理し、クラウドと連携するシステムだ。中国政府は「データセキュリティ法」を施行し、自動車が収集するデータの管理を強化している。中国道路に関するデータについて、マスク氏は2月26日にXで「FSDが中国の道路や交通標識に迅速に対応できるよう、インターネット上に公開されている動画を使って模擬的な訓練を実施した」と説明している。
(36Kr Japan編集部)
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