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次世代の金属3Dプリント技術を開発する中国スタートアップ「融速科技(Rongsu)」がこのほど、策源資本(Orinno Capital)から数千万元(数億円超)を調達した。この1年ですでに3回の資金調達を実施し、調達額は累計1億元(約20億円)近くに上る。今回調達した資金は技術開発や中核人材の確保、産業パートナーとの提携強化に用いられる予定だ。
融速科技2020年に設立され、金属材料を積層して造形する「積層造形(AM)」技術をコアとした金属3Dプリンターやプリントサービス、専用ソフトウェアの提供に注力している。
金属3Dプリント業界は着実に成長を続けており、なかでも金属ワイヤーを使用したDED方式(指向性エネルギー堆積法)は、工業生産のデジタルトランスフォーメーション(DX)支えるキーテクノロジーになると期待されている。中研普華産業研究院によると、中国の金属3Dプリンターの市場規模は2023年に31億7100万元(約660億円)に達し、30年には95億元(約2000億円)を突破する見込みだという。また、世界の金属3Dプリント市場も24年の47億ドル(約7000億円)から34年には600億ドル(約9兆円)規模に膨らむと予測されている。
中国ではワイヤーDED方式の普及が遅れており、市場はまだ駆け出しの段階で、関連企業はごく少数にとどまっている。融速科技の徐方達CEOは、海外でワイヤーDED方式が技術的な進展を遂げて産業化に至るのを目の当たりにし、博士課程の研究テーマに超大型3Dプリンターを選んだ。
「中・大型部品の製造には主に鋳造や鍛造が採用されるが、加工に時間がかかるのが欠点だ。3Dプリント技術を使えば大幅な時間の短縮になり、コスト削減やプロセス改善にもつながる」と徐CEOは語る。
融速科技はまず、ワイヤーレーザー積層造形(WLAM)とワイヤーアーク積層造形(WAAM)の2分野にフォーカスし、独自の国産装置の開発に乗り出した。これまでに、高精度な小型部品の製造に適したWLAM装置「Laser One」や「Robo L1」、大型産業金型の大量製造に適したWAAM装置「AMmake」シリーズなどをリリースしている。
中でも、Laser Oneは現時点で量産基準を満たした中国唯一のマルチレーザー同軸WLAM装置とされ、独自の中核技術「VEAM」により、独立制御の6ビームレーザーで均一な積層を可能にし、高精度・高効率・低コストの3Dプリントを実現した。
これまでに同社がワイヤーDED方式で生産した製品を600点余り納品しており、その総重量は12トンを超える。20台以上の積層造形装置を保有しており、30種類以上の金属材料に対応できる。
今後は、積層効率や精度をさらに高めた次世代のWLAM装置の開発を進め、建設業や新エネルギーなどの分野にDED技術を応用できるよう大手企業との提携を模索していく方針だという。
*1元=約21円、1ドル=約149円で計算しています。
(翻訳・畠中裕子)
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