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外骨格ロボット(パワードスーツ)の研究開発を手掛ける中国スタートアップ「程天科技(RoboCT)」は、シリーズBで約1億元(約20億円)の資金調達を完了したと発表した。リードインベスターは無錫市創新投資集団(Wuxi Capital Group)。調達した資金は、技術開発や生産拠点の拡張、そして海外市場の開拓に充てられる予定だ。リハビリ・介護を含む専門用途に加え、一般消費者市場での普及拡大を目指す。
創業者の王天氏は、2022年初めの36Krの取材で「従来の電動モーター駆動による機械式外骨格ロボットは過渡期の技術に過ぎない。将来的には、より人体に密着し、衣服のように着用できるものに進化する。これを実現するために、人工筋肉などの新素材を使い、より自然な歩行補助を可能にする」と述べていた。
当時、外骨格ロボットは市場や消費者の認知度が低く、医療リハビリ用途を軸に開発を進めた。「まずは企業向け(BtoB)市場を拡大してから、消費者向け(BtoC)に参入する」という戦略を採用した。これまで、病院のリハビリ科や地域のリハビリセンターなどで導入が進み、主に脳卒中、脊髄損傷、脳性麻痺といった中枢神経系患者のリハビリ訓練に使われてきた。
そして現在、人型ロボットに代表される「エンボディドAI(Embodied AII=身体性を持つ人工知能)」やAGI(汎用人工知能)の発展により、外骨格ロボットに対する期待も高まっている。これを受けて同社は、一般消費者向け市場へ本格参入した。
2025年には、一般向け製品として歩行補助外骨格ロボット「易行EasyGo」シリーズを発表。主なターゲットは高齢者の歩行補助やアウトドアなどを想定している。軽量カーボンファイバー素材と生物工学の技術を活用し、電源不要で歩行をアシストする仕組みになっている。販売価格は2500元前後(約5万円)とした。

リハビリ用途では、外骨格ロボットの装着により、ユーザーの持久力や歩行速度、6分間歩行距離がすべて改善されることが確認されている。また、歩行時の安定性と対称性も向上され、転倒リスクの軽減とエネルギー消耗の抑制にもつながっている。
さらに、技術の進化により、ユーザーの動作意図を認識する方法も、初期の筋肉収縮する際の微弱な電流(筋電信号)や姿勢の認識から、脳波、脊髄波などの神経信号の読み取りへと拡大している。
王天氏は「従来の認識方法は推測に基づくなど正確性と応答遅延の面で不十分だった。現在では、神経信号の収集と解読アルゴリズムを強化することで、脳波や脊髄波を直接リハビリのプロセスに導入し、より効果的なリハビリが可能になった」と指摘している。 さらに、マルチモーダルな生体信号の融合アルゴリズムを活用することで、意図認識の精度は98.7%まで向上しているという。

程天科技は現在、中国国内市場に加え、海外展開にも注力している。主力製品の一つであるリハビリ用外骨格ロボット「UGO」シリーズは、2024年末にEUのCE認証を取得し、徐々に市場を拡大している。
*1元=約20円で計算しています。
(36Kr Japan編集部)
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