物流現場で“100台同時制御”。中国発AIロボ「Multiway Robotics」、日本を含む30カ国で導入拡大

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物流現場向けにスマートソリューションを提供する中国スタートアップ「Multiway Robotics(勱微機器人)」(以下、マルチウェイ)がこのほど、普華資本(Puhua Capital)の主導するシリーズBの追加ラウンドで約1億元(約20億円)を調達した。出資には梅花創投(Plum Ventures)も参加した。調達した資金はコア技術の開発と改良、グローバル市場の開拓、スマート工場の生産能力拡大に充てられる。

マルチウェイは2019年に設立され、広東省深圳市に本社を構える。世界30以上の国や地域で、ロボット技術と人工知能(AI)技術を活用したスマート製造およびスマート物流ソリューションを提供しており、顧客は機械製造、食品飲料、自動車製造、コールドチェーン物流など幅広い業種にわたる。2023年には日本にも子会社を設立した。

主な取引先には、宇宙開発を手がける中国航天科技集団(CASIC)や、エネルギー化学大手の中国平煤神馬(China Pingmei Shenma)、航空機大手の中国商用飛機(COMAC)、自動車大手の中国第一汽車集団(FAW)、国有送電大手の国家電網(State Grid)、家電大手ハイアールといった中国企業のほか、住友グループや仏エアバス、韓国のサムスン、LGグループ、米エマソン・エレクトリックなど世界の有名企業が含まれており、これまで700社以上にサービスを提供してきた。

Multiway Roboticsの製品ラインアップ (画像は企業提供)
Multiway Roboticsの製品(画像は企業提供)

同社は「搬送・荷物の出し入れ・スケジューリング・運用保守」をフルカバーで支援するスマート物流ソリューションを打ち出し、これまでに30種類を超えるロボット製品を開発してきた。製品には無人フォークリフト、AMR(自律移動ロボット)、無人けん引車、4wayシャトル台車などがあり、荷物の出し入れや搬送のあらゆるシーンに対応し、倉庫内物流の主なニーズを満たしている。

製品は物流現場の特定の問題を解決したり、複雑な環境に対応したりもできる。例えば、冷凍倉庫内の零下25度という低温環境でも安定して稼働できるよう、光通信技術を導入してネットワークの安全性を確保した。また、業界初となる開封してすぐ使用できる新型無人フォークリフト「X1」や、さまざまなタイプのパレットに対応した無人フォークリフト「X20S」を発売している。

ロボット技術については、ナビゲーションや認識、制御、スケジューリング、安全性を担う基盤アルゴリズムから、WMS(倉庫管理システム)、RCS(ロボット制御システム)、WCS(倉庫制御システム)といった上位システム、さらにクラウド型ソフトウエアに至るまで、全てを自社で開発している。LiDARや測距センサー、コアコントローラーなどの主要部品も80%以上が自社開発によるものだ。

加えて、AIを活用した「スカイアイシステム(天眼系統)」を開発して、荷物の出し入れや搬送に関わる作業全般をサポートし、柔軟な展開を可能にした。強化学習アルゴリズムをベースにしたスケジューリングシステムは複数の機器の経路計画を調整し、100台のロボットを同時に運用しても渋滞率を0.1%以下に抑えることができる。

物流の自動化を手がける従来の企業とは異なり、Multiway Roboticsは複雑な物流シーンを中心に、屋内外の動的環境、人と車両が混在する場所、狭い通路、冷凍倉庫といったさまざまなシーンを想定して、無人フォークリフトやAMR、無人けん引車、4wayシャトル台車を活用したスマートソリューションを作り上げた。高所(最大12メートル)、高負荷(5トン以上)、高精度(±5mm)にこだわった同社のロボット製品は、世界中の現場で実際に活用されている。

Multiway Roboticsの製品の活用シーン(画像は企業提供)

同社はまず中国国内で事業を展開し、2021年に商用化を開始、初年度だけでも受注額が6000万元(約12億円)を突破した。その後は海外事業も拡大しており、22年には全体の10%足らずだった海外売上高が、現在は40%にまで拡大している。

*1元=約20円で計算しています。

(翻訳・畠中裕子)

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