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人工心臓の研究・開発を行う中国の医療機器メーカー「核心医療(CoreTech Medical)」がこのほど、シリーズDで1億ドル(約144億円)余りを調達した。2025年に入ってから中国の革新的医療機器分野で実施された資金調達で最高額となる。
正心谷資本(Loyal Valley Capital)や社保基金中関村自主創新専項基金、サウジアラムコ傘下のプロスペリティ7、基石資本(CoStone Capital)などが共同で出資を主導し、徳聯資本(Delian Capital)と聯新資本(New Alliance Capital)も参加した。調達した資金は革新的製品の開発に充て、グローバル戦略を推進する方針だという。
核心医療は2016年に設立され、本社を広東省深圳市に置く。機械的循環補助装置などのハイエンドな革新的医療機器の開発に取り組み、植込み型の左心室補助人工心臓(LVAD)と両心室補助人工心臓(BiVAD)のほか、経皮的に挿入できるカテーテル型心室補助装置(pVAD)を手がけている。
中国の心不全患者は1000万人を超えるが、ドナーが極端に不足しており、心臓移植の実施件数は年間1000件に満たない。そのため、人工心臓が心臓移植に代わる重要な選択肢となっている。中国国家薬品監督管理局(NMPA)は現在、革新的医療機器の承認を加速し、核心医療などの医療機器メーカーに成長のチャンスを与えている。
現在の人工心臓市場は、米ジョンソン・エンド・ジョンソンや米アボット・ラボラトリーズのような世界大手が握っている上、価格も高い。核心医療は中国国内で製品を生産することで価格を下げ、多くの患者が恩恵を受けることが期待される。サプライチェーンを国内でコントロールできるため、不安定な国際貿易による影響も避けられる。
核心医療が植込み型人工心臓の承認を得たのは同業他社に比べ遅かったものの、技術レベルの高さで競争優位性を確保している。主力製品の左心室補助人工心臓「Corheart 6」は、軸方向に磁気浮上させる技術を採用。ポンプ本体は90グラム、外部装置は800グラムと競合製品よりも小型・軽量ながら、連続33時間の使用に耐える。すでに700台余りの植込み手術が成功しており、2024年の国内シェアは業界1位の46%となっている。
現在は左心室補助人工心臓が主流だが、末期の心不全患者の30%以上で右心室または両心室の機能低下が見られる。にもかかわらず、長期的な治療に使用できる成熟した製品はまだない。医師からは「臨床的な見地から、左右の心室を同時に補助する技術の登場が待たれる」との声が聞かれる。
これを受け、核心医療は磁気浮上型の両心室補助システム「DuoCor」を開発。臨床応用はすでに10例を超え、海外での臨床応用も展開している。また、中国では承認例のない経皮的心室補助装置についても、軸方向磁束モーター技術を基に経皮的心室補助装置「CorVad」を開発した。
オーストリアとドイツではすでにCorheart 6の臨床試験登録を開始しており、ドイツのハノーバーでは人道的救済を目的とするDuoCorの移植1例目が成功している。核心医療は、欧州は安定した市場環境と医療費支払いシステムを備えているため、グローバル展開の拠点とする計画だという。
*1ドル=約144円で計算しています。
(翻訳・田村広子)
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