人気ライバーにも資格が必要? 無秩序に広がるライブ配信者の養成レッスン

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動画配信アプリ「TikTok(抖音)」や「快手(Kwai)」などを通じたショート動画の流行に伴い、人気ライバー(ライブ配信者)の養成やライブコマースで商品を売る秘訣を伝授するレッスンも盛んになってきた。36Krが取材した養成機関のスタッフによればこの種のレッスンの「ニーズは大きい」という。

10月中旬、「インターネットライブ配信に公的資格が必要になる」という、配信者にとって気になるうわさが広まった。このニュースは、中国のライブ配信業界に大きな波紋を広げ、瞬く間に様々な憶測を呼んだ。

その翌日の中国演出業協会(CAPA)による声明発表を受け、業界はようやく落ち着きを取り戻す。同協会は微信(WeChat)の公式アカウントを通じ、オンラインパフォーマンス(ライブ配信)に関する統一的な職業認証システムはなく、参入基準やいわゆる「資格」といったものは存在しないと明言。同時に、ライブ配信のレッスンや資格試験に関する情報を的確に判断し、詐欺や経済的損失に注意するよう呼びかけた。

こうした専門資格の取得や人気ライバーの事例を学ぶことは、配信者にとっては安心材料という意味合いが大きく、ショート動画やライブ配信で収入を得ようとする配信者のやる気を呼び起こす。配信者の養成レッスンという民間ビジネスが生まれたのも、まさにそのような理由からだ。

無秩序に広がるライブ配信者の養成レッスン

養成レッスンには、個人のライブ配信者を対象としたオンラインでのグループ・マンツーマン講座のほか、マネジメント組織であるMCN(マルチチャンネル ネットワーク)を対象としたオフライン講座がある。

一般的な個人配信者向けオンライングループレッスンの料金は1000元(約1万5000円)前後で、MCN向けオフラインレッスンは数万元(数十万円)に上る。受講期間は1~2日、多くても5日ほどだ。

業界関係者によると、ショート動画の配信レッスンでは主に、TikTokや快手などのプラットフォームのアルゴリズム、トラフィック獲得、ライブコマース、複数アカウント運営について学ぶことができる。

だが、講師が本当に初心者たちを成功に導けるのかといえば、必ずしもそうではないのが現状だ。

前出の業界関係者によると、多くの養成機関は今でも、勧誘役の生徒に素人のような状態のまま講師をさせるという安易な手法で稼いでいる。さらに「マルチ商法」のように生徒が生徒を呼ぶシステムもある。

ソーシャルメディアサービス企業の「YY(歓聚時代)」や「陌陌(MOMO)」に加え、その後流行したTikTokや快手でも、配信者がアカウントを本格的に運営するには配信者団体への加入が必要だ。配信者団体も配信者向けのレッスンを行っているが、一部の「怪しい」団体はレッスンも金儲けの手段としている。

あるMCNの責任者によると、1カ月間で数百人の配信者を集め、女性には稼ぐための美容整形を勧めた配信者団体があるという。そして美容整形の費用からマージンを取り、配信者に美容整形の費用がなければ借金を勧め、そこでもマージンを取っていたという。

配信者の本格的な養成レッスンは存在しない

ライブ配信のレッスン需要は次第に高まっている。だが、配信者にとってレッスンは漠然としていて、何をどのように配信するかに明確なルールもない。

ソーシャルライブ配信の人気ライバーたちはいずれも歌やダンスなどの特技を持っているか、または視聴者を強く引きつける人間的な魅力を備えている。しかし、こうした技能を短期間で習得するのは難しい。

配信者の中には自ら配信のレッスンを行う人もいるようだ。配信者として成功を目指す人に対しプロでもないのにダンスを教え、配信者としてのわずかな経験を金もうけの手段に変えているという。

複数の業界関係者は、講師の大半がプラットフォームのルールやアルゴリズムなどアカウント運営に関するレッスンしかできない現状を明らかにしている。講師は一つか二つしか成功事例を挙げられず、なかには自分の実体験ではない事例を持ち出すこともあるという。

「養成機関のレッスンは大同小異で、売り上げは口のうまさにかかっている」と業界関係者は話す。その内容は初心者には役に立つが、経験者には目新しさのない基礎的なものばかりだ。だが、配信者の目指すところは人気ライバーであり、そのためのコンテンツを作りたいと考えているのだ。

あるいは、配信者を本格的に養成するレッスンはそもそも存在しないのかもしれない。

ショート動画やライブ配信流行の勢いに乗じてレッスンをする人々は、かつて自らの知識をもとに数分単位の有料動画を作成・販売する「マイクロレクチャー」を行った人々に似ている。有料コンテンツからライブ配信さらにはライブコマースに至るまで、ビジネス嗅覚に長けた人が、時代に乗り遅れることを恐れる消費者の心理をつかんで新たなマーケティング手法を生み出しているのだ。

ライブ配信者は誰もが人気ライバーを目指している。しかし、きらびやかなベールに隠された実態は、想像ほど美しくはないのかもしれない。
(翻訳・神戸三四郎)

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