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「東洋のスターバックス」とも称される中国のティードリンクチェーン「霸王茶姫(CHAGEE)」がこのほど、ロサンゼルスのショッピングモール「Westfield Century City」で米国1号店をオープンした。
霸王茶姫は4月17日に米ナスダックに上場したばかりで、米国で初めて上場を果たした中国新興ティードリンクブランドとなった。
調査会社Future Market Insightsによると、米国のティードリンク市場は2025年に約5億3000万ドル(約760億円)に達し、2032年には8億7000万ドル(約1250億円)規模に拡大して、年平均約7%のペースで成長すると予測されている。
中国のティードリンク市場全体を見ても、現在は主要ブランドのほとんどがすでに海外へ進出している。

米国市場では、「喜茶(HEYTEA)」が最も多くの店舗を展開しており、今年2月14日にはワシントン首都圏に27店舗目をオープンした。フローラルな香りが特徴のミルクティー専門店「茉莉奶白(Molly Tea)」は2024年10月、サンフランシスコ・ベイエリアに2店舗目を出店し、3日間で8万2000ドル(約1200万円)を超える売上高を記録した。そのほか、上海風の「滬上阿姨(AUNTEA JENNY)」、レモンティー系の「撻檸(TANING)」、フルーツティーの「楽楽茶(LELECHA)」といったブランドも、すでに米国に進出しているか、あるいは出店準備を進めている。
しかし、海外で飲食チェーンビジネスを展開するうえでは、供給網や収益構造の確立に加え、ターゲット層の拡大とブランド認知の獲得という難題に直面することが多く、霸王茶姫も例外ではない。
グローバル展開をうたいながらも、米国1号店は無難に中華系居住者の多いロサンゼルスを選んでおり、カリフォルニアのショッピングモール「Brea Mall」でも出店準備を進めているが、こちらも同様に中華系が多く住む地域だという。
これは、海外展開する中国の飲食ブランドが共通して直面するジレンマを示している。つまり、「華人コミュニティの枠を超えて、現地の顧客をいかに取り込めるか?」という課題だ。中国国外に住む華人・華僑は約6000万人いるとされるが、もし海外事業が依然としてこの層に依存しているようでは、真の意味でのグローバル展開とは言いがたい。
こうした課題への対応策とも見られるのが、マクドナルドで約16年勤務し、かつてグローバル最高マーケティング責任者(CMO)を務めたユージン・リー氏がこのほど、霸王茶姫のアジア太平洋地域担当の副社長兼CMOに就任した。


中国のティードリンクブランドは本当に世界市場で通用するのか。その答えが明らかになるまでには、もう少し時間がかかりそうだ。
*1ドル=約143円で計算しています。
(36Kr Japan編集部)
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