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電動バイクブランド「藍鯊(Blueshark)」を展開する中国・鯊湾科技(Sharkgulf Technology )のマレーシア子会社であるBlueshark Ecosystem Sdn. Bhd(以下、BESB)と、マレーシアの石油大手ペトロナス・ダガンガン(Petronas Dagangan)は、このほどクアラルンプールで投資協定に調印し、合弁会社「Blueshark Malaysia Sdn. Bhd」(以下、 BMSB)の設立を発表した。 マレーシアにおける電動バイクの普及を共同で推進するとしている。

合弁会社BMSBの出資比率は、ペトロナスが49%、BESBが51%を所有する。鯊湾科技の創業者兼最高経営責任者(CEO)の劉虎林氏によると、合弁会社設立の主要な目的は、マレーシアにおける電動バイク向けのバッテリーバンクと電池交換ネットワークの構築で、調達した資金はこの分野に重点的に充てられるという。
鯊湾科技は2018年に設立され、「車両・バッテリー・交換ステーション一体型ソリューション」の技術プロバイダーとして、合弁会社BMSBに対し、車両本体、バッテリーや充電ステーションなどのハードウェア製品に加え、車両の管理システムやバッテリー交換システムといったソフトウェアをクラウド上で提供するSaaS(Software as a Service)のソリューションを提供している。
BMSBは、藍鯊ブランド(「SoloEra」モデルを含む)のマレーシアにおける独占販売代理店としての役割を果たすとともに、ペトロナスのガソリンスタンドを拠点にバッテリー交換ネットワークを運営。現在、同事業はクアラルンプールを中心とする首都圏「クランバレー」、北部ペナン州、南部ジョホール州で始まっており、将来的にはマレーシア全土へ段階的に拡大する予定だ。
また、BMSBは、マレーシアの大手製造業グループであるEP Manufacturing Berhad(EPMB)と現地生産に関する契約を結んでおり、EPMBは将来的にマレーシアでの生産、組立、物流などの業務を支援する方向だ。
中国企業、“日本の牙城”バイク市場に挑む
2021年後半から、世界的なエネルギー転換、新型コロナウイルスの影響などにより移動手段の多様化が進み、短距離の電動化モビリティの需要が拡大した。その代表例の一つが、電動バイクである。
劉CEOは、電動バイクは東南アジア市場において大きなビジネスチャンスをもたらしていると述べた。 統計によると、東南アジアは世界最大の二輪車市場として、2億5000万台以上のバイクが走っている。2024年の年間販売台数は1267万台に達し、世界全体の30%を占めた。 一方で、原油価格の高騰や政府の補助金政策により、従来のバイクが電動バイクへの置き換えが進んでいる。
これまで東南アジアのバイク市場は、ホンダ、ヤマハ、スズキといった日本企業の独壇場だった。 例えば世界第4位のベトナムでは、日本メーカーが年間300万台以上を販売している。 中でもホンダは、2022年にベトナムで230万台超を販売し、市場シェアは80%以上を占めている。
現在、日本企業も東南アジアの電動バイク市場を開拓し始めているが、電動化のペースが遅いため、市場シェアはまだ小さい。主にベトナムのVinFast (ビンファスト)、Pega(ペガ)などの東南アジアの地元メーカーと、中国から進出した雅迪科技(Yadea Technology)、台鈴車業(TAILG)、緑源電動車(Luyuan)、九号(Ninebot)などが市場争いを繰り広げている。
ホンダベトナム(HVN)の発表によると、バイクの販売台数は2023年に前年比13.3%減の208万8557台で、2024年は2.8%増の214万7025台となったが、市場シェアは2.09%縮小した。一方で、中国メーカーの販売量は伸びている。2023年9月に、雅迪科技のベトナム工場から10万台目の電動バイクが出荷された。 同社は2025年にベトナムで第2工場の稼働を開始する計画で、年間生産能力は200万台に達する見通しだ。
とはいえ、電動バイク業界が直面する最大の課題は、コストパフォーマンスの優位性を確立することにある。バッテリーパックを搭載するため、従来のガソリンバイクよりもコストが高く、消費者はより安価な製品を期待している。 さらに、東南アジアでは中国のような手厚い補助金制度が整っておらず、中国式の普及モデルをそのまま適用することは難しい。
これについて、劉CEOは、車両とエネルギーを切り離すモデルを提案する。車両本体にバッテリーパックを搭載せずに販売することで、購入時に補助金の対象となり、価格競争力も高まるという。また、バッテリーバンクのサブスクリプションサービスを通じてレンタルできれば、さらにガソリン価格と電気代の費用対効果の優位性が明確になると指摘した。
(36Kr Japan編集部)
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