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中国の越境電子商取引(EC)プラットフォームはここ数年、少額輸入品に対する免除措置(デミニミス・ルール)を利用して、世界各国のEC市場で急速に存在感を高めてきた。しかし、米国が5月2日付で中国から輸入される800ドル(約12万円)以下の小口貨物に対する免税措置を撤廃したのに続き、欧州や日本でも課税強化の動きが広がっている。
米税関・国境取締局(CBP)の統計によると、2024年の小口貨物の輸入件数は13億6000万件に上った。うち約60%が中国発で、越境ECの「Temu」や「SHEIN」の商品が中心だった。今回の免税措置撤廃を受け、多くの中国越境EC事業者は欧州市場への注力を強めている。
そのなか、欧州連合(EU)は5月20日、非加盟国から消費者に直接配送される小包1件あたり2ユーロ(約330円)、倉庫に配送される小包1件あたり0.5ユーロ(約80円)の費用を徴収する方針を発表した。これまでは、150ユーロ(約2万5000円)未満の少額輸入品に対し、免税や通関手続きの簡素化を認めていた。
公開データによると、2024年にEUへ流入した少額輸入品約46億件の91%が中国発で、その多くが越境ECプラットフォームを通じて販売されていた。EUは、新たな制度は税金ではなく合理的な管理コストだとし、急増する少額輸入品による通関負荷の軽減、域内産業の保護、消費者安全対策を強化する狙いだと表明している。
日本でも制度見直しの動きが進む。現在は1万円以下の小口貨物の関税や消費税が免除されているが、2026年をめどに新たな課税制度の導入が検討されている。財務省によると、24年は免税対象の少額貨物の輸入が1億6966万件、総額は4258億円と前年の5倍に増加した。背景にはTemuやSHEINなどの利用者急増があるとみられる。
英国でもリーブス財務相が4月末、中国の越境ECを通じて不当に安い商品が流入しているとし、低価格輸入品に対する関税制度の見直しを検討すると明らかにした。現在は135ポンド(約2万6000円)未満の輸入品に対する関税が免除されている。
韓国は現時点で関税制度の見直しを公表していないが、米国やEUの動向を注視している。現在はECサイトで購入した15万ウォン(約1万7000円)未満の輸入品が免税対象となっている。現地専門家は、中国製の低価格商品が大量に流入すれば、国内産業の競争力を損なう恐れがあると警鐘を鳴らしている。
*1ドル=約145円、1ユーロ=約164円、1ポンド=約195円、1ウォン=0.11円で計算しています。
(36Kr Japan編集部)
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