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再使用型ロケットの開発を手がける中国スタートアップ「深藍航天(Deep Blue Aerospace)」がこのほど、シリーズB4で5億元(約100億円)近くを調達した。出資は、泰安遠望新能源産業投資基金(Tai’an Yuanwang New Energy Industry Investment Fund)が主導。資金は、液体燃料を使う再使用型ロケット「星雲(Nebula)」シリーズの開発や製造、収益化に用いられる。
2024年5月に開始したシリーズBでの調達額は累計10億元(約200億円)を超え、今回の資金調達によって企業評価額は約50億元(約1000億円)に達した。
2016年に設立された深藍航天は、中国で最初期に液体燃料の再使用型ロケットを開発した民間企業で、法人顧客向けにコストパフォーマンスに優れた高品質の宇宙輸送サービスを提供している。
米スペースXは2024年10月、大型宇宙船「スターシップ」による5度目の試験飛行で、ミッション完了後にブースターの軟着陸と回収に初めて成功した。一方、中国国内では、液体燃料による再使用型ロケットの打ち上げを完了した企業はまだ存在していない。
深藍航天の主力製品は再使用型ロケット「星雲」シリーズと液体燃料エンジン「雷霆(Thunder)」シリーズだ。独自に開発した「星雲一号」は中国初の液体燃料を使う再使用型ロケットで、積載能力2トン、推力180トンに上る。衛星の軌道投入後に機体を回収して、迅速なメンテナンスからの再打ち上げが可能で、コストが低く信頼性の高い、高頻度の打ち上げニーズに応えられる。
また開発中の「星雲二号」は、打ち上げ計画が発表されている民間企業のロケットのうち最大のパワーを備えている。「雷霆RS」を11基搭載し、低軌道(500km以下)積載能力25トン、推力1000トンを超え、大規模な衛星打ち上げにも対応できる。
「雷霆RS」はスペースXと同じピントル式噴射技術を採用し、地上推力130トン、真空中推力約150トンに加え、30~110%のスロットリング(推力調整)機能を持ち、大型ロケットに搭載可能だ。また、10回以上の再使用ができるため、1回あたりのロケット打ち上げコストを大幅に削減するうえ、3Dプリンターによる一体成形で部品の数を減らし、全体の製造プロセスも短縮できる。
「星雲一号」はすでにエンジン試験や制御システムの検証をクリアし、打ち上げカウントダウンに突入。年内には初打ち上げを実施し、軌道投入と垂直着陸による回収を目指している。
同社は、山東省済南市に中国最大の敷地面積を誇るエンジン試験場を建設した。また、同省泰安市の汶河空天経済産業パークに設けた液体燃料ロケットエンジン付加製造拠点は、年間160基のエンジンを生産し、同社の供給能力を大きく向上させる見込みだ。
さらに、今年5月18日に江蘇省無錫市高新区で、本社兼液体燃料ロケット組み立て拠点の開所式を実施した。総額15億元(約300億円)が投じられたこの拠点にはモジュール設計や協働ロボットが導入されており、年間生産能力はロケット10基、エンジン100基の生産体制を構築している。
*1元=約20円で計算しています。
(翻訳・大谷晶洋)
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