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テンセント傘下の中国電子書籍サービス大手「閲文集団(China Literature)」とウォルト・ディズニー・カンパニー・チャイナ(以下、ディズニー中国)は10月中旬、現在はディズニー社が著作権を有する映画「スター・ウォーズ」に関するコンテンツでの協業を進めると発表した。中国の作家による初の中国語オリジナルウェブ小説を共同で発表するというもので、すでに初期の準備段階に入っているという。
今後は40篇の小説が閲文集団の全ての電子書籍プラットフォームに段階的にアップロードされるほか、コンテンツ・アグリゲーターとも連携を図る。ディズニー中国と閲文集団は今後、スター・ウォーズのマーケティングに関する協力もさらに進めていく計画だ。
中国語版スター・ウォーズ小説は、閲文集団の人気作家である「国王陛下」氏によって執筆される。同氏の過去の作品「従前有座霊剣山」は累計10万ダウンロード、500万シェアという大人気小説となっている。さらには「騰訊動漫(Tencent Animation & Comics)」によりウェブアニメにリメイクされ、「騰訊視頻(Tencent Video)」と「ビリビリ動画(bilibili)」で連続配信されている。
両社は「国王陛下」氏のファンに対する影響力を借り、スター・ウォーズ小説のストーリーにさらなる発展性を持たせたい考えだ。ディズニー中国はより細やかな現地化経営により中国市場を開拓したいという狙いがあり、一方で閲文集団もスター・ウォーズの力を借りてコンテンツのグローバル化を進めたいため、今回の協業に大きな期待を寄せている。
今回の協業が成功すれば、ディズニー社傘下の他のIPコンテンツに関しても、中国市場で現地化を進めるチャンスが開ける。さらに、閲文集団はテンセントからリソース面でのサポートを受けており、この点もディズニー中国が重視するところとなっている。今後のPR・配信に関しても、テンセントのプラットフォームやユーザーをめぐるリソースが閲文集団に提供されることになる。
閲文集団は今年上半期、東南アジア最大の通信会社シンガポール・テレコム(シングテル)や携帯電話メーカー「伝音科技(Transsion)」と提携し、9月末にはタイの電子書籍サービス企業「OBU」の株式20%を取得した。昨年10月には、韓国のオリジナルウェブ小説プラットフォーム「Munpia」に対する戦略的投資も実施している。閲文集団は作家、コンテンツプラットフォーム、コンテンツ・アグリゲーターをめぐる業務展開を通じて、グローバル化を段階的に進めている。だが現時点では、同社の海外展開はアジア地域にとどまっており、スター・ウォーズの発祥地である米国市場への進出は果たせていない。
とはいえ、両社が納得のいく結果を出すのも容易ではない。閲文集団のオリジナルコンテンツ事業の総経理を務める楊晨氏によれば、同社はディズニー社傘下の映像制作会社ルーカスフィルムとの交渉にかなりの時間を割いており、両社が納得できるコンテンツの脚色の程度について相当な話し合いを行ったという。これまで米国の映画・ドラマに登場する中国的要素は、建築物などのやや具象的なものが多かったが、閲文集団としてはむしろ中国的な登場人物やストーリーを小説の内容に加えたいと考えているためだ。
ただ、アレンジを加えれば当然オリジナルコンテンツとの差が生じることになる。スター・ウォーズの新旧ファンがオリジナル小説をどう評価するかはまだ分からない。
(翻訳・神部明果)
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