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中国人のスマホ依存ぶりは、日本の比ではない。中国に行くと、地下鉄の中はもちろん地下鉄の通路だろうと歩きスマホの人ばかり。レストランでグループの会食の場面でも、テーブルを囲みながらスマホに夢中という光景はよく見る。SNSのチェックをしたり、動画を見たり、お得なクーポンや商品探しや買い物、ゲームなど、スマホでできることは尽きることがないのだ。
カラオケもスマホで完結する時代となり、オンラインカラオケの利用者数は若者を中心に5億人を超えている。年々新しい娯楽が登場し、若者同士が集まって楽しむ選択肢は広がる一方で、「カラオケ離れ」はますます拍車がかかる。中国カラオケ業界のデータによれば、50歳以上のカラオケ利用者の割合が若者を20%上回り、利用者の高齢化が進んでいる。カラオケの店舗数は7年前の半分以下に減少しているという。
カラオケが他の娯楽やスマホに押されて減速する中で、カラオケチェーンの「星聚会KTV(STARカラオケ)」は逆行するかのように店舗数を伸ばし、すでに1000店舗を突破している。しかも、利用者の約8割を18〜35歳のトレンド感度の高い若年層が占める。低迷が続くカラオケ業界の中で、業界の常識を覆すような快進撃だ。
その好調の背景の一つは、「来てよかった」、「また来たい」と思わせる仕掛けが随所にある点だ。
中国ならではのエンタメ空間
「また来たくなる魅力」とは、一体どんなものなのか?筆者は、今年5月に東京・渋谷センター街にオープンした、STARカラオケの日本初(かつ海外初)の店舗を実際に訪れてみた。

今や外国人観光客の定番スポットとなったスクランブル交差点。その先のセンター街を歩いていくと、正面にピンク色の建物「STARカラオケ」が見えてくる。店舗は2階から5階までにわたっており、フロアごとに異なるタイプの個室が用意されている。2階と3階には1~3人向けの小部屋が13部屋、4階にはゆったりと過ごせる中部屋が4部屋。そして、最上階の5階はフロア全体を贅沢に使った広さで、30人は利用できるバーカウンター付きの大部屋となる。
5階の大部屋に足を踏み入れると圧倒される。中国らしく、ディスプレイをふんだんに使った演出が視覚に訴えかけ、「うわ、これはまさに中国!」と思わず声が出るほどだ。縦長の90インチ大画面モニターを3台横に連結した巨大スクリーンが存在感を放ち、壁にはVチューバー風キャラクターが踊り続ける映像が映し出される。さらに、見上げれば、天井にまでディスプレイが設置され、きらびやかなビジュアルに包み込まれる。ここでは、中国ならではの派手なエンタメ空間を全身で体感できる。

カラオケだけじゃない!
いずれの部屋にも、日本のDAM(一部はJOYSOUND)と、自社独自のカラオケシステムが導入されている。つまり日本のカラオケ店と同じ機器を操作して歌えるのはもちろん、中国式システムをタッチパネルやスマートフォンのリモート操作で利用することもできる。さらに、中国で培われた照明ニーズに応えるべく、天井ライトを活用したライティング調整も可能。シーンに合わせて雰囲気を自在に変えられるのも大きな特徴となっている。

そして注目したいのが、カラオケ以外のエンタメ体験である。STARカラオケでは、中国が配信権を所有する独占コンテンツを用意。中華ポップのコンサート映像から、渋みのある伝統音楽の演奏まで、高画質モニターと迫力のある音響で楽しめる。
特に最上階の巨大モニターで視聴するコンテンツは圧巻で、鑑賞会やオフ会を開きたくなるほどだ。ほかにも皆で踊れるダンス動画、ドリンクを飲む人を決めるパーティゲーム、中国版人狼「狼人殺」の動画まで揃う。今のところ中国語だけだが、本場の中華エンタメに触れる貴重な機会といえるだろう。
また、スマートフォンの画面をミラーリングして大画面に表示ができるので、リモートミーティングやスマホを経由のコンテンツ鑑賞会もできる。操作に不安があっても、店員のサポートを受けられるので安心だ。

開業したばかりということもあり、STARカラオケの料金設定は比較的リーズナブルだ。小部屋であれば平日昼間お一人様30分75円から、大部屋でも休日昼間からで1部屋1時間あたり8000円、深夜はフリータイムで2万4000円で利用できる。例えば8人で大部屋を利用した場合、1人あたり30分500円で体験できる計算になる。サービスやコンテンツの充実度を考えれば、渋谷で空間を借りるには破格と言って過言ではない。ちなみに提供される食事は日本のカラオケと同じで、ガチ中華のメニューはない。
真の狙いは日本客

STARカラオケが、在日中国人が集まる池袋ではなく、渋谷に出店したのには明確な理由がある。日本代表のTony(張漢臣)氏は、「池袋であれば確かに注目は集まりやすい。しかしそれでは在日中国人にしか届かない。今後は日本各地で日本のお客さんにフォーカスして展開して長くビジネスしていきたい」と語る。
その狙い通り、当初は在日中国人利用者が中心だったが、今では若い日本人のリピーターも増えている。Tony氏は、年内にも日本国内でさらに出店しようと計画中だという。
実際に「STARカラオケ」を利用した中国人客に聞くと「楽しかった!」と笑顔で答え、「友人に星聚会KTVが日本にできたと伝えると、絶対に行きたい!と言われました」とコメントした。
筆者の日本人としての感覚では、特に中国カルチャー好きのオフ会や、中国人社員との打ち上げ会、さらには小規模な発表会やリモートワークの場としても、十分に活用できるポテンシャルを感じた。今後、日本でこの“新しいカラオケ体験”がどう根づき、広がっていくのかーー注目していきたい。
(文:山谷剛史)
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