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中国では今年に入り、江蘇省や湖南省、上海市、河南省など十数の省・自治区・直轄市で低高度空域を飛ぶ有人・無人航空機を活用した経済活動「低空経済」関連産業ファンドが設立された。ファンドの規模は10億元(約210億円)から200億元(約4200億円)で、低空経済産業チェーンの重要な分野を対象としている。
ファンドの発展を地域的分布からみると、「東部沿岸部がリードし、中西部が追い上げる」という様相を呈している。東部沿岸部は経済基盤や裾野産業、技術的優位性によって先頭に立った。上海市と浙江省を例にとると、両地域のファンドは産業チェーン全体に焦点を当て、無人機(ドローン)研究開発や航空製造など地元の産業クラスターの優位性と結びつけることで、資本と産業の精度の高いマッチングを実現している。中西部地域は資源の優位性を武器に追い上げ、四川省や河南省、湖南省などはファンドを通じて資源が低空経済に集まるよう誘導し、産業構造の最適化と高度化を促している。
特に貴州省貴陽市、湖北省武漢市、江蘇省蘇州市は複数のファンドをまとめることで、相乗効果を形成している。武漢市は市・区が連携し、100億元(約2100億円)を上回る規模の低空経済発展ファンド群を組成する方針を打ち出した。蘇州市は16本の低空経済産業ファンドを新たに組成。規模は合わせて200億元(約4200億円)を超え、全国最大の低空経済ファンド群となった。
一部の地域はまだ低空経済に特化した産業ファンドを設立していないが、設立に関する構想と手配を政府計画に盛り込んでいる。北京市は「北京市の低空経済産業の質の高い発展促進に向けた行動計画(2024~27年)」の中で、産業特化型ファンドを活用し、低空経済に焦点を当て、民間資本や専門機関による投資を導く方針を打ち出した。広東省深圳市の7部門は共同で20項目の措置を発表し、低空経済の産業クラスター特別資金を設置するとした。山西省は国のゼネラルアビエーション(一般航空)業発展モデル省として、50億元(約1050億円)のゼネラルアビエーション業発展ファンド設立を計画している。
低空経済への資本流入が相次ぐ背後には、市場の巨大な潜在力がある。中国民用航空局によると、中国低空経済の市場規模は25年に1兆5000億元(約32兆円)、35年には3兆5000億元(約74兆円)に上る見通し。ハイエンド製造や現代サービスなど多くの分野の共同発展もけん引し、経済の新たな成長分野と雇用機会を創出するとみられる。【新華社北京】
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