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中国電気自動車(EV)大手・小鵬汽車(Xpeng Motors)傘下の「小鵬匯天(Xpeng Aeroht)」が開発した電動垂直離着陸機(eVTOL)2機が、吉林省長春市で開催された航空ショーのリハーサル後に接触事故を起こし、そのうち1機は着陸時に機体が損傷し火災が発生した。
事故が起きたのは9月16日、小鵬匯天は事故後すぐに、現場にいた人の無事を発表し、事故の原因については2機の飛行間隔が十分ではなかったためと説明した。しかし、この事故によりeVTOLの安全性についての議論が巻き起こっている。
小鵬匯天は2013年に設立され、20年に小鵬汽車の何小鵬・会長兼最高経営責任者(CEO)から出資を受け、小鵬汽車の傘下に入った。その後、巨額の資金調達や年間1万台規模の量産計画を足がかりに、中国の低空経済分野で注目される有力企業へと成長を遂げてきた。何CEOは、小鵬匯天が研究開発スタッフ1400人を擁し、過去10年間に空飛ぶクルマ分野で累計100億元(約2100億円)以上を投資してきたことを明かし、25年には30億元(約630億円)の投資を予定していると語った。
同社の評価額は2024年に110億元(約2300億円)となり、中国の民間シンクタンク・胡潤研究院がまとめた「2024年世界ユニコーン企業ランキング」にランクインした。創業者の趙徳力氏は同年12月に「時期は未定だが、IPOを計画している」と語った。
これまでに、空飛ぶクルマとして「旅航者」シリーズの「T1」「X1」「X2」や、陸空両用の「陸地航母」など複数を開発している。中でも陸地航母は特に看板商品で、定価は200万元(約4200万円)以下。地上走行ユニットと飛行ユニットから構成され、レンジエクステンダーを搭載、飛行ユニットは走行ユニットに丸ごと格納して陸地を走ることができる。
陸地航母が他のeVTOLと異なる最大の特徴は、個人向けの空飛ぶクルマであり、小型車の運転が可能なC1またはC2の運転免許を持っていれば運転できる点だという。しかし飛行ユニットを操縦するには、専門の免許を取得しなくてはならない。
小鵬匯天は今年7月、eVTOLの量産工場が10-12月期に竣工し、26年に陸地航母の量産と納車を開始すると発表した。陸地航母は10月にアラブ首長国連邦のドバイで海外初飛行を予定している。中国での注文台数は5000台に迫り、26年下期に出荷される計画になっている。
趙氏は、陸地航母の飛行ユニットは「ヘリコプターに比べはるかにシンプルだ」と公言するが、実際にはバッテリー管理や飛行制御システム、空中での障害物回避技術などについて長期間の検証が必要だ。特に複雑な環境では、低空飛行機の信頼性は従来の航空機に比べて明らかに見劣りする。
陸地航母の飛行ユニット「X3-F」は、中国民用航空局(CAAC)中南地区管理局に型式証明と生産証明の申請を受理され、審査が進んでいる。しかし、空飛ぶクルマに関する法律や規制は世界的にまだ整備されておらず、製品設計や耐空証明、空域の管理、事故時の責任の所在など法的な空白が存在する。中国国内にも同様の状況が見られる。
商用化の面では、空飛ぶクルマの利用シーンはまだ限定的で、ハードルが高いのが現実だ。何CEOはかつて、現時点での空飛ぶクルマのターゲットは一般消費者ではなく、救急活動や富裕層向けの観光などを想定していると語っている。
今回の事故では小鵬匯天の技術力と緊急対応能力が問われただけでなく、業界の監督管理体制や市場からの信用、商用化の進捗にも直接影響を与えかねないとの分析も見られた。
「低空経済」は2024年の中国の政府活動報告に初めて盛り込まれ、新たな成長エンジンのひとつに位置づけられた。すでに全国30以上の省や市が「低空経済」を発展計画に組み込んでいるという。
作者:雷達Finance(WeChat公式ID:leidaplus)
*1元=約21円で計算しています。
(編集・翻訳:36Kr Japan編集部)
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