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大手動画共有サイト「ビリビリ動画(bilibili)」いわく、「ビリビリ動画は学習コミュニティだ。過去1年間約2000万人が弊社サイトで学習した」。
ショート動画配信アプリ「快手(Kuaishou、海外版は「Kwai」)」いわく、「総合教育では弊社が一番だ。快手は99万以上の教育系コンテンツ制作者を抱え、累計2億本の制作実績がある」。
ショート動画共有アプリ「抖音(Douyin、海外版は「TikTok」)」いわく、「弊社こそ教育に適している。青少年向けの教育系コンテンツは弊社エコシステムの重要部分となっている」。
ビリビリ動画、快手、抖音は一定のアクセス数とユーザー数を確保した後、おしなべて「教育」を語り出した。新たにユーザーの利用時間を奪い合う中で、各社のコンテンツプラットフォームは教育関連分野を次々に攻めいく。
10月末、ビリビリ動画は課金制講座をアプリで開始した。快手は昨年から課金制オンライン教室を始めている。抖音は今のところ課金制コンテンツには手を出していないが、情報や科学関係のコンテンツ制作者には手厚い優遇措置を設けており、今年3月からは一部投稿者を対象に5分の長編動画の制作を許可するなどしている。
動画講座で何が学べるのか?
快手が最近発表した動画レッスン人気ランキングの上位には、数学、健康、起業、製菓などの達人がランクインしている。
お菓子作りを教える「佳利姐烘焙」のフォロワー数は24万3000人、ほぼ毎日更新でオリジナルケーキの作り方を紹介しており、これまでに投稿した動画は総計2000以上ある。ほとんどは無料コンテンツだが、一部有料コンテンツも配信する。が、料金は5~6元(100円未満)からとリーズナブルだ。
快手にはイチゴの育て方、病気になったヤギの世話の仕方、DIY内装のやり方などの課金コンテンツが多い。快手によると、ある飲食店経営者は「閻媽媽街辺小吃」で、店舗経営での年収に匹敵する30万元(約470万円)を快手のレッスンで稼いだという。
これらは決して一過性の娯楽コンテンツではない。教育関連のシリーズ物は、ユーザーの定着率に貢献する。ビリビリ動画、快手、抖音は、学歴や資金とは無縁だが職業的に「専門家」といえるさまざまな人々にとって収入を得る手段となっている。彼らは多種多様な手法により、情報配信の敷居を低くした。
なぜ動画講座で学ぶのか?
しかし、ビリビリ動画はもともと二次元コンテンツ(アニメやゲーム)愛好家向け、快手や抖音は若者向けだ。こういった娯楽系コンテンツのプラットフォームは教育関係にはそぐわないとの印象を持つ人が多い。
けれども、ビリビリ動画、快手、抖音の三者はそうは考えていない。彼らに言わせれば、「自社のユーザーには学習へのニーズがある」とのことだ。
ビリビリ動画、快手、抖音はいずれもコンテンツツールであり、知識系コンテンツはそれらのカテゴリーの1つだ。娯楽コンテンツばかりでマンネリ化していたところに知識系コンテンツは新鮮味を加えるだけでなく、幅広い知識に関する学びのニーズを満たす効果もある。オンライン課金制の学習コンテンツ増加は時代の流れだ。
課金コンテンツ市場を概観すると、今のところ、知識系コンテンツ専門の課金制アプリは出ておらず、ビリビリ動画、快手、抖音がその間隙を埋めている。快手が今年発表した教育コンテンツ関連のレポートによると、同分野において需要が高いのは道徳・教養、農業関係、職業知識、科目別コンテンツであるとのこと。ビリビリ動画、快手、抖音は地方都市のユーザーに、より気楽で噛み砕いたアプローチで、より多くの学習チャネルを提供する。これらの動画には運命を変える力はないが、プラットフォーム、投稿者、ユーザーすべてにポジティブな影響を及ぼしている。
(翻訳・永野倫子)
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