新エネルギー車市場は冬の時代 車載電池メーカーは試練の時を迎える

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新エネルギー自動車業界は淘汰の時を迎えており、ドミノ現象が起こり始めている。ここのところ「比克動力(Bakpower)」の代金未回収問題は絶えず話題になっており、代金を支払うべき「衆泰汽車(Zotye Auto)」には支払い能力がなく、その影響は「比克動力」の川上・川下の企業の財務状況へと波及し、「新宙邦科技(Capchem)」、「杭可科技(HangKe Technology)」、「当昇科技(Easpring)」などのA株企業が次々と不良債権を計上している。

比克動力は衆泰汽車の主要な車載電池サプライヤーの1つであり、双方の提携は2014年に始まった。衆泰汽車への車載電池の供給量全体の60%を比克動力が占めている。

2019年に入ってから自動車販売の低迷が続き、新エネルギー車への補助金も減額されたため、衆泰汽車の業績は悪化し、契約金の支払いを求めたサプライヤーによる集団提訴などの問題が発生した。比克動力も被害企業の1つで、衆泰汽車に対して6億5000万元(約100億円)の支払いを求めて提訴している。比克動力の親会社である「中国比克」の財務諸表によると、今年上半期の損失は3590万3800元(約5億4500万円)であった。

比克動力はメディアの取材に対し「2019年になって衆泰側からの支払いは全くなく、経営幹部が出てきて積極的に協議する姿勢もない」と述べている。

比克動力の今回の業績悪化は、車載電池業界の地殻変動開始のシグナルかもしれない。新エネルギー自動車への補助金が車体からインフラへ移り、これによって新エネルギー車の需要が減り、製品力が不足している自動車ブランドが販売量を落としている。

一般的に自動車メーカーから車載電池メーカーへの支払いサイトは比較的長い。ある業界関係者によると、支払い期限は通常3カ月後で、時には1年以上になることもある。新エネルギー車のコストの中で一番大きい割合を占める車載電池メーカーは、自動車メーカーとともに大きな試練の時を迎えている。

衆泰汽車だけではなく、「力帆(LIFAN)」、「猟豹(Leopaard)」、「華泰汽車(Hawtai Motor)」にも以前から「倒産」の噂が出ている。これによって影響を受けたサプライヤーも多い。業界関係者によると、比克動力だけではなく「現在、BMS(バッテリーマネジメントシステム)企業を含むほとんどの車載電池メーカーに財務上の問題があり、上流の顧客からの支払いを回収できていない。寧徳時代(CATL)、比亜迪(BYD)以外の自動車メーカーはサプライヤーにコスト削減の圧力をかけるしかない」という。

代金回収のプレッシャー以外に、車載電池の価格の下落傾向という今後の大きな流れがあり、車載電池メーカーは生産能力を拡大すると同時に技術研究開発を加速させている。このような「内憂」に加えて、車載電池メーカーは、日韓の車載電池メーカーが中国国内に工場を建設し市場のパイを奪おうとする「外患」にも見舞われている。このような状況に対し、一部の車載電池メーカーは電動バイク、電子製品向けなどの車載電池以外の電池セル製品を供給し始めた。例えば比克動力はすでに電力貯蔵や小型軽量型の電池の分野への取り組みを始めている。

衆泰汽車と比克動力に起こった「業績悪化の連鎖」は、自動車産業全体のふるい落としがまだ続いており、競争力のない自動車企業の淘汰は終わっておらず、自動車企業の生存空間への圧迫が続くことを意味する。緊密な関係を持つ自動車産業チェーンにおいて、一つのつなぎ目に問題が生じると、自動車産業全体の利益が損なわれるため、業界全体が警戒を高めている。
(翻訳・普洱)

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