高齢者の介護がスマートデバイスで 緊急時自動呼出やタッチなしでも通話可能

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高齢者の介護がスマートデバイスで 緊急時自動呼出やタッチなしでも通話可能

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中国では高齢者の38.1%(9500万人)が身体機能低下により介護を必要としている。51%(1億3000万人)が一人または夫婦のみで暮らしている。子どもが電話で様子を確認したり、たまに家を訪ねたりするくらいでは十分とは言えない状況だ。

テック企業の「伴我科技(BONVO)」は高齢者に特化したスマートデバイスとオンラインサービスを組み合わせ、高齢者に寄り添ったサービスの提供を目指している。

同社の主要製品は専用のスマートフォンと台座となる機器を組み合わせた「伴我1+1」だ。最大の特徴は高齢者の使いやすさを追求した点であり、具体的には次の3つが挙げられる。

第一に、これまでの高齢者向けスマホはユーザーインターフェース(UI)レベルの対応にとどまっていたが、伴我1+1では高齢者向けにOSやネットワークサービスを開発。機能をカスタマイズし、ダウンロードして利用できる。専用スマホの台座には物理的なボタンを採用し、高齢者が簡単に操作できるようになっている。第二に、専用スマホの台座は血糖測定器や血圧計などのスマートデバイスのほか、緊急呼出機器や人感センサーなどのスマートホーム機器とも接続できる。第三に、高齢者を中心としたネットワークサービスにより、特殊な権限、緊急呼び出し、折り返し機能などを利用できる。クラウドで写真を共有したり、アラームを設定して服薬や散歩の時間を知らせたりすることが可能だ。また、特殊な権限を持つ親族の場合、高齢者が受信ボタンを押さなくてもビデオ通話が可能であり、緊急時にも対応できる。

伴我科技創業者の張小林氏は、業界の問題点は高齢者向けスマート製品のレベルが低いこと、価格が割高なことだと指摘。同社はインターネットを前提としたサービスを高齢者向けに改良することを事業とし、高齢者、医療機関や介護施設のスタッフなどを顧客として想定している。

同社はハードウエア、ソフトウエアの特許50数件のほか、商標・著作権・ソフトウエア著作権などの知的財産権100数件を申請している。昨年11月に開発に乗り出し、今年10~11月には小規模な試験的生産を実施。12月から来年1月に第1弾(1万台)を発売する予定だ。張氏は「同社の目標は高齢者向けスマートデバイス分野でトップになることだ」と語る。

販売に関しては、企業向けにはテレビ局や高齢者施設運営大手、地域の高齢者施設運営業者、非営利組織などと商談を進めている。個人向けにはネット通販サイトやインフルエンサーを活用してプロモーションを行う予定だ。

2015年に中国当局が実施した高齢者の生活状況に関する調査では、2020年に中国の高齢者人口が2億4800万人に達し、65歳以上の人口の割合は12%に上ると予想されている。伴我科技はこのデータを踏まえ、2021年のアクティブユーザー数を100万人と見込む。

今後の展開として、同社は各種データサービス(健康関連データの報告、栄養のあるレシピ、社会保障に関する管理)の提供と、医療ケアサービスや中高年向け商品など他社製品・サービスの取り扱いを予定している。さらに、より多くのスマートホーム機器やリストバンド、血圧計などのスマートデバイスを開発していく構えだ。また、標準化やAPIのオープン化を通じ、第三者のソフト開発能力を取り込むほか、中国SNS最大手のWeChat(微信)との連携も視野に入れている。

創業者の張氏はシリアルアントレプレナー(連続起業家)の一人で、デジタルサイネージなどを手掛ける「碧虎科技(BE TIGER)」の創業パートナー、前CTO(最高技術責任者)だ。インターネット業界で10数年の開発・営業経験がある。

伴我科技は現在シリーズAの資金調達を計画しており、目標額は500~1000万元(約8000~1億6000万円)。同時に医療または高齢者関連業界との提携にも前向きな姿勢を示している。
(翻訳・池田晃子)

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