高速通信の車載チップ 中国・仁芯科技、ADAS・360度カメラに

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

日経スタートアップ注目記事

高速通信の車載チップ 中国・仁芯科技、ADAS・360度カメラに

36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

高速通信が可能な車載チップの開発を手がける中国のスタートアップ「仁芯科技(Rsemi)」はこのほど、シリーズAの追加ラウンドで1億元(約20億円)以上の資金を調達した。既存株主で自動車用電子機器大手の徳賽西威(Desay SV)が追加出資したほか、金浦投資(GP Capital)など複数の投資機関も参加した。2025年に入ってからの累計調達金額は3億元(約60億円)近くに上る。今回の資金は車載用SerDesチップの量産やサプライチェーン整備、次世代高速チップの開発に充てられる。

仁芯科技は2022年設立、浙江省杭州市に本社を置く。上海市と四川省成都市に運営センターおよび研究開発センターを構え、現時点で130名ほどの従業員が在籍しており、その大半を開発スタッフや技術者が占めるという。

同社が注力するのは、高速データ伝送を可能にする車載用SerDes(シリアライザー/デシリアライザー)チップの設計・開発だ。カメラなどのセンサーとドメインコントローラーの間で高速のデータ通信を担う「自動車の神経網」として、E/E(電気・電子)アーキテクチャのドメイン制御や中央集権型へのシフトを支える重要な存在となっている。すでに360度パノラマカメラやスマートコックピット、先進運転支援システム(ADAS)などに広く活用され、新エネルギー車(NEV)や中大型車への搭載が一般化している。

調査会社QYリサーチによると、世界の車載用SerDesチップの市場規模は2024年に5億5400万ドル(約840億円)を突破し、31年には19億4900万ドル(約3000億円)に達すると見込まれる。なかでも急成長が期待されているのが中国市場だ。

これまでSerDesチップ市場は、米アナログ・デバイセズやテキサス・インスツルメンツなどの海外大手の寡占状態にあった。しかし、自動車の電動化やスマート化といった流れが加速し、中国企業も存在感を高めつつあり、国産品へのシフトが加速している。

仁芯科技は、伝送速度16Gbpsのカメラ向けSerDesチップ「R-LinC」をすでに開発し、2024年に量産を開始している。最新の32Gbpsディスプレー向けSerDesチップは、コックピットと運転制御の一体型アーキテクチャに対応しており、最大8つのディスプレーを駆動できる高い帯域幅を備えている。

同社の強みは、そのシステムアーキテクチャの設計と信頼性の高い工学技術にある。独自の集約型伝送アーキテクチャにより、使用するSerDesの数を減らし、完成車メーカーのシステムコスト低減を実現した。さらに、初期段階から品質基準の厳しい車載規格を満たす製品設計を行い、中国の車載SerDesチップとしては初めて国際認証機関による安全認証を取得、過酷な車載環境でも長期安定稼働できる品質を確立した。

カメラ向けSerDesチップ「R-LinC」は、すでに複数の自動車メーカーの量産車に採用されている。国内外の主要SoC(システム・オン・チップ)メーカーからの評価も高く、複数のメーカーの認定品および推奨部品リストに登録されるなど、業界内で確固たる地位を築きつつある。

*1元=約21円、1ドル=約152円で計算しています。

(翻訳・畠中裕子)

36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録