「三輪車が電力インフラに」 中国クリーンテック、太陽光発電モビリティで新興国市場を開拓

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中国のシンクタンク・海国図智研究院(Intellisia Research Institute)傘下の新エネルギー技術開発企業はこのほど、エンジェルラウンドで約1000万元(約2億円)規模の資金を調達した。同社は、露天商や移動販売業者を対象に太陽光発電・蓄電一体型の小型モビリティソリューションを開発しており、調達資金は主に技術開発、生産ラインの構築、海外市場の開拓に充てる方針だ。

同社が手がけるのは、太陽光パネルを搭載した三輪車によるモバイル型エネルギープラットフォームである。グリーンエネルギー、コールドチェーン、デジタルシステムを一体化した移動式ソリューションとして、東南アジアや南アジアなどの新興市場で小売業者が抱える電力不足、冷却設備の未整備、経営効率の低さといった課題の解決を目指す。

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「移動するグリーンエネルギーノード」

世界中で常設店舗を持たない露天商や移動販売業者は1億5000万~2億人規模が存在するとされ、都市部の経済を支える重要な役割を担っている。しかし、これらのほとんどが、安定した電力を確保できず、デジタルツールの導入も遅れているのが現状だ。海国図智は、太陽光発電・蓄電およびスマート化を統合したシステムを通じて、こうした末端業者をデジタル経済圏に取り込み、経営効率と収益性の向上を支援する考えだ。

見た目はごく普通の三輪車ながら、同プラットフォームの強みは高度に統合された3つのシステムにある。

・グリーンエネルギーシステム:フレキシブルに設置できる太陽光パネルに加え、リン酸鉄リチウムイオン電池とスマートBMS(バッテリーマネジメントシステム)を搭載し、電力自給率は90%を超える。

・スマート経営システム:決済や在庫管理、データ分析のほか、モバイル端末による遠隔操作や故障アラートの機能も有する。

・データ活用システム:人流データや販売動向を収集し、最適な出店場所や価格設定の提案を行う。

ハード販売にとどまらぬ持続可能な収益モデル

海国図智研究院の陳定定院長は、ハードウエアの販売・リースに加え、小売事業、充電・放電サービス、SaaS型サブスクリプション、移動広告、サプライチェーン利用サービスなど、複合的な収益源を持つ持続可能なエコシステムの構築を目指す方針を示した。

陳氏は、中国の太陽光発電・蓄電分野ではコスト競争力が高まり、低炭素ソリューションを携えた海外展開が現実的な段階に入ったと指摘。「中国のグリーンテクノロジーがグローバルサウスで新たな応用シーンを切り拓く契機になる」と話した。

同社は、すでにバングラデシュの首都ダッカの市役所から100台を受注し、再現性のある「ダッカモデル」を確立した。このモデルは、露天商や移動販売業者の経営効率を向上させるだけでなく、雇用創出による社会・経済への波及効果も期待される。今後はカンボジア、ベトナムなど東南アジア諸国への展開に加え、中東・アフリカ市場の開拓にも取り組む計画だ。

今回の投資家は、海国図智がグリーンテクノロジーの新たな活用シーンを発掘したことを高く評価している。欧米市場での競合を避け、新興市場の社会課題解決に焦点を当てる戦略には大きな価値があり、文化や需要の異なるさまざまな地域で、どこまで事業を拡大できるかが今後の成長の鍵になると分析している。

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*1元=約21円で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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