Insta360 vs DJI、360度カメラ市場で激突 市場シェアで首位争い

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

大企業注目記事

Insta360 vs DJI、360度カメラ市場で激突 市場シェアで首位争い

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

中国の調査会社、久謙咨詢(Meritco Services)が10月28日、世界の360度アクションカメラ市場に関するリポートを発表した。中国の影石創新科技(Arashi Vision)が運営するアクションカメラブランド「Insta360」は、2025年7〜9月の市場シェアが49%と4〜6月期の92%から急落した。その一方で、ドローン世界最大手のDJIは初めて打ち出した360度カメラ「Osmo 360」が爆発的な人気を呼び、43%のシェアを獲得。売上高ベースのシェアは66%で世界首位に立ったという。

ところが、それから間もなく米フロスト&サリバンが、Insta360の市場シェアは75%で、DJIの17.1%を大きく上回るという調査結果を明らかにした。これら調査会社2社のデータの大きな差異が業界の注目を集めている。

DJIは2025年7月末にOsmo 360を発売し、Insta360が長年支配してきた市場に急速に食い込んだ。Insta360の「X」シリーズは世界の消費者向け360度カメラ市場を席巻し、影石創新科技の売上高の約50%を占めてきた。

Insta360 X5

Insta360とDJIの競争は、中国で急成長するスマート映像機器業界の一部を示しているにすぎない。ここ2年間で、中国では少なくとも7社の新興企業が業界に参入しているが、その創業者の多くはスマートデバイスやインターネット業界出身だ。たとえば、スマートフォン大手の小米(シャオミ)の元幹部が設立した「光啓之境」や、ロボット掃除機大手の追覓科技(Dreame Technology)が出資し「光子躍遷(LEAPTIC)」、フードデリバリー大手の美団(Meituan)の元幹部が設立した「Looki」などが挙げられる。さらに、OPPOやvivo、Honorといったスマホメーカーも、サプライチェーンやスマホとの連携を生かし、ジンバル付きカメラの開発に乗り出している。

“考えるカメラ”「Looki」、1000万ドル調達。AIが自動で撮影・編集するウェアラブルVlogデバイス登場

需要面も好調だ。浙商証券(Zheshang Securities)の試算によると、世界のVlogユーザーは5億2000万人、アウトドアスポーツ人口は2億2000万人に達するにもかかわらず、スマート映像機器の年間出荷台数は4657万台にとどまっている。そのなかで、DJIのジンバル付き小型カメラ「Osmo Pocket 3」は発売から約2年で累計1000万台を販売し、売上高は300億元(約6600億円)を超え、市場のポテンシャルの大きさを証明した。

Insta360の時価総額が一時1000億元(約2兆2000億円)を突破したことで、スマート映像機器分野は一躍注目の的となった。そして現在、新たな挑戦者が続々と登場し、王者Insta360の追い落としを狙う群雄割拠の時代が始まっている。

中国発アクションカメラ「Insta360」が上場、時価総額1兆4000億円 33歳の創業者が大富豪に

*1元=約22円で計算しています。

(36Kr Japan編集部・茶谷弥生)

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

次の一手をひらくヒントがここに。

会員限定ニュース&レポートをお届け。