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中国ではこのごろ、高齢者向け玩具の製造と販売が「銀髪経済(シルバー経済)」の新たな成長分野となりつつある。
浙江省義烏(ぎう)市の卸売市場、義烏国際商貿城1区を訪れると、業者の徐亜仙さんが売れ筋の高齢者向け玩具「健腕球(リストボール)」を客に紹介していた。リストバンドや弾力のあるロープとボールからなる「健腕球」は、動作が単純で手軽に使えることから日本や韓国、中東などで高い人気を得ているという。
徐さんは「主に高齢者の手首の柔軟性と握力を鍛えるための製品、非常に人気がある。現在、供給が需要に追いついておらず、注文は1カ月先まで埋まっている」と語った。
別の店舗の棚には、2人用キャッチボール玩具や卓球練習器具など、高齢者向け玩具の数々がずらりと並ぶ。販売業者の呉海芳さんは、高齢者向け玩具の販売量が店全体の約半数を占めるようになったと紹介した。
中国国家統計局によると、国内の60歳以上の人口は昨年末時点で初めて3億1000万人を突破した。こうした背景のもと、高齢者向け玩具はニッチなカテゴリーから、徐々に新しい消費市場へと成長した。現在、義烏国際商貿城1区には玩具販売業者が1900軒あり、うち1割前後が高齢者向け玩具を扱っている。
この1年間で、大手通販サイト「淘宝(タオバオ)」での「高齢者向け玩具」の検索量は約2.2倍となり、成約数も70%以上増加した。
浙江省麗水市雲和県は国内最大の木製玩具生産拠点で、メーカー1000社以上がひしめき合う。ここ数年は、高齢者向け玩具が地域産業発展の新たな成長点となっている。
地元企業の浙江米米智康科技が製造する木製玩具は、娯楽性と知育・健脳機能を兼ね備えており、日本の静岡県にある特別養護老人ホーム、久能の里から好評を得ている。
浙江米米智康科技の馬達飛董事長は、海外市場の各種ニーズに基づき製品のカスタマイズにも対応していると紹介。「例えば、チェスを好むドイツの高齢者向けに質感のある木製の駒を作っている。日本の高齢者の間ではけん玉の人気が高いので、新たな生産ラインを設計、開発した」と語った。
同省杭州市にある浙江中医薬大学付属第3医院の高齢医学科の李思敏主治中医師は、高齢者向け玩具の流行の本質について、社会が高齢者の精神的ニーズに応えていることの表れだと見ている。
国家税務総局が発表した付加価値税のインボイス(送り状)データによると、今年上半期(1~6月)の高齢者向けサービスの売上高で、観光サービスは前年同期比26.2%、スポーツ・健康サービスは23.9%、文化娯楽活動は20.7%それぞれ増加。シルバー層の消費が「介護」から「老後を楽しむ」ことへ移行していることが示された。
中国老年学・老年医学学会老年教育分会の張勁松総幹事は、国内で「活力あるシニア」層が急速に台頭しているとし、シルバー経済が基本的な生活保障と介護サービスを提供する保障型消費からより高品質で楽しみを享受する消費へと飛躍し、巨大な潜在力が解き放たれるとの考えを示した。【新華社杭州】
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