DNPの牙城に挑む 中国・衆凌科技、有機ELの製造用部品を量産

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有機ELディスプレイ(OLED)の製造工程に必要なファインメタルマスク(FMM)を手がける中国スタートアップ「衆凌科技(Zhongling Technology)」がこのほど、シリーズCで4億元(約90億円)以上の資金調達を実施した。出資は深創投(SCGC)が主導し、建投投資や毅達資本(Addor Capital)なども参加。

調達資金はFMMの改良、マスクの基材となる低膨張合金・インバー(Invar)の国産化、第8.6世代FMMの生産能力拡大、さらには太陽光発電・半導体分野での新規事業開拓、海外市場への進出などに充てられる。

日本企業独占の牙城を崩す

2020年9月に設立された衆凌科技は、FMM市場で長らく日本の大日本印刷(DNP)が9割以上のシェアを握り独占してきた牙城を崩そうとしている。

FMMは、OLEDの蒸着工程で発光材料を基板上に精密に付着させる治具であり、ディスプレイの解像度や品質、寿命に決定的な影響を与える。特に、中・大型AMOLED(アクティブマトリックス式有機ELディスプレイ)の製造に不可欠な厚さ20マイクロメートル(µm)の超薄型FMMは、日本メーカーが中国企業への販売を制限してきたため、中国AMOLED産業の高度化におけるボトルネックとなっていた。

衆凌科技は、この20µm FMMの量産化に成功。すでに、中国のスマホ大手シャオミ(Xiaomi)のハイエンド機種「Xiaomi 17 Pro Max」など、複数のフラッグシップモデルの量産を支えている。

第8.6世代FMM用露光装置を搬入(画像は企業提供)

FMM国産化の最大のボトルネックは、マスクの基材となるインバー材の調達だ。日本企業が特許訴訟などを通じて中国メーカーの原材料調達ルートを遮断しようとする動きがある中、衆凌科技は太原鋼鉄(TISCO)など鉄鋼メーカー3社と共同で国産インバー材の開発を進めてきた。

同社は、インバー材の100%国産サプライチェーンを構築し、中国で唯一、次世代規格となる第8.6世代FMMの技術・設備を導入したメーカーとなっている。

FMMに求められる指標のいくつかは日独製を上回ったが、歩留まりや厚みの均一性はまだ劣っている。国産FMMは現時点で厚さ30~35μmだが、今年中に25μmへと改良し、30~40%のコスト低減を見込む。また、世界最高レベルとなる18µmの超薄型製品も間もなくサンプル提供を開始し、2026年の量産化を目指す。

他分野への応用も

衆凌科技の売上高は、2022年の数千万元(数億円)から24年には1億元(約20億円)以上へと急拡大し、25年にはさらに倍増する見込みだ。

また、同社は超薄板金属加工技術を応用し、2026~27年に半導体や太陽光発電分野での新規事業を本格化する計画だ。例えば、太陽電池の銀ペースト印刷に応用することで、材料コストを20~30%低減できるという。

出資を主導した深創投は、「衆凌科技は、ハイエンドFMMの量産化と原材料の自社調達を実現した中国唯一のメーカーであり、日本企業を超える潜在力を有している」と高く評価した。AMOLEDがタブレットや車載ディスプレイへと中・大型化するにつれ、FMM国産化の余地は今後さらに拡大するとみられる。

*1元=約22円で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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