次世代機能性薄膜で攻勢 清華大発スタートアップ、米ロジャーズの牙城に挑む

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機能性薄膜複合材料を開発する中国スタートアップ「清融科技(Funcmat)」がこのほど、エンジェルラウンドで数千万元(数億円)を調達した。中科創星(Casstar)が出資を主導し、常見投資(C&I Capital)、水木清華校友種子基金(Tsinghua Capital)、江陰市人材科創天使基金が参加した。資金は生産ライン拡張やコア設備の開発のほか、高周波通信、新エネルギー、AIサーバー市場の開拓に充てられる。

清融科技は2024年9月に清華大学の材料科学研究チームによって設立され、高周波・高速通信対応の銅張積層板(CCL)や高エネルギー密度のキャパシタ(コンデンサ)用薄膜など、機能性薄膜複合材料の開発と生産に注力している。主に5G通信や新エネルギー車、AIサーバー、ミリ波レーダーといった用途にフォーカスし、米ロジャーズ(Rogers)などの海外企業が寡占するハイエンド材料市場において、国産化によるシェア奪取を狙う。

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同社の製品は、すでに国際水準の性能に達している。高周波CCLは誘電損失が0.001以下と、国際的にもトップクラスの性能を誇り、安定性やコスト面でも優位に立つ。キャパシタ用薄膜は体積あたりのエネルギー密度が5J/cm³、耐熱温度を150℃に高めたほか、従来品に比べて30~50%の小型化に成功した。

中国の調査会社・前瞻産業研究院のデータによると、世界の機能性薄膜市場は2024年に3878億5000万元(約8兆9000億円)に達し、30年には4117億8000万元(約9兆5000億円)に拡大する見通しだ。世界の高周波CCL市場も2028年に440億元(約1兆円)を超えると予測されているが、中国メーカーの製品は製造プロセスや性能で後れをとっており、輸入品への依存度が高い。

例えば、高周波通信の分野では、ロジャーズが世界シェアの50%以上を占めている。同社のフッ素樹脂PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)系材料は優れた特性を備えるものの、加工が難しく高価で、主要膜材の生産工程は中国国外に限定されている。自動運転や次世代通信の普及で材料への要求が厳格化するなか、安定供給が可能な国産ハイエンド材料へのシフトが急務となっている。

機能性薄膜複合材料の開発と活用

清融科技の技術は、中国科学院院士(アカデミー会員)である清華大学の南策文教授、および沈洋教授のチームが20年にわたり積み上げてきた研究成果に支えられている。マルチスケール構造制御と連続製造プロセスを組み合わせることで、複合材料のフィラー分散や界面制御といった課題を克服し、大面積の機能性薄膜を安定的に量産できるようにした。

高周波CCLにはPTFE系の複合改質技術を採用、比誘電率を1.8~10.7の範囲で調整可能にし、誘電損失や熱膨張係数は低く抑えて、77~79GHz帯のミリ波レーダー向けの要件を満たした。キャパシタ用薄膜では、複合誘電体により蓄電性能を高めたことで、エネルギー密度は従来材料の2.5倍を達成し、150℃の高温環境にも耐えられる。

同社の高周波CCLはすでに、ミリ波レーダーメーカーやプリント基板(PCB)大手向けにサンプル送付と検証が進んでいる。新エネルギー車向けパワートレインメーカーとも協業の意向を確認しており、2026年に生産ラインの試運転を開始して、初回受注分の納品を行う予定だ。キャパシタ用薄膜も、太陽光発電用インバーターやスマートグリッドを手がける顧客による信頼性試験を実施しているところで、年内の量産開始を見込む。

創業者の江建勇氏は「高周波CCLの検証にはおよそ3~5カ月を要するが、現時点で顧客からは主要パラメーターの安定性が国内の競合品を上回るとの評価を得ている。26年の売上高は1000万元(約2億3000万円)突破を目指す」と語る。

今後の課題は、国産材料への切り替えに慎重な顧客層の開拓だが、江氏は「コスト削減の圧力が高まるなか、迅速な技術サポートとカスタマイズ対応で差別化を図る」と自信を見せる。将来的に高速伝送用フレキシブル基板向け低誘電薄膜の開発を進めるとともに、AIサーバー向け高速信号伝送用材料など新たな分野の開拓を進め海外市場への本格進出も視野に入れている。

*1元=約23円で計算しています。

(翻訳・畠中裕子)

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