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イヌ・ネコを愛で、自宅で飼うことへの憧れが強まる中国では、インターネット上でもペット関連のコンテンツが常にトップクラスの人気を集めている。
こうしたブームはペット関連経済の飛躍的成長を促している。中国のソフトウェア企業「南訊数據科技(Nascent Softwate Technology)」がペットを飼育する人のペルソナについてまとめた2017年のデータ(以下、「ペルソナリポート」)では、中国のペット市場全体における消費規模は2020年に2000億元(約3兆2000億円)を超えると予想している。
さらに1980~1990年代生まれの若年層の消費観念や消費習慣も上の世代とは異なり、質の高い個性重視の消費を志向し、消費を通じて自分自身を喜ばせたいという願望も持っている。
よりよい商品やサービスを求める消費のアップグレードや、単身者がけん引する「おひとりさま経済」の盛り上がりがペット関連の消費を促している事実は軽視できない。おひとりさま経済の中心にいるのは1985~1995年生まれの独身者だ。その多くが故郷を離れ都市部で就職しており、せわしない生活や競争のプレッシャーにさらされている。
ペットは彼らのストレスを癒し、孤独を紛らわせてくれる存在だ。経済メディア傘下の調査機関「CBNData」の「2018年ペット業界白書」によると、ペットを飼う人は高学歴のホワイトカラー、未婚の女性が多いという。彼らの多くにとってペットは心のよりどころなのだ。またペットを飼育する人の多くはペットのための出費を惜しまない。前出のペルソナリポートによると、ペットのために年間3600元(約5万7000円)以上を消費する飼い主が6割を超えている。
こうした状況を見据えて多くのプレーヤーが業界に参入してきている。ペットフード、ペット医療など従来から存在する分野の他、新たなジャンルを開拓する動きも絶えない。中国のペット経済はどのように歩を進めていくのか。各ジャンルでどのようなプレーヤーがしのぎを削っているのか。勝ち組に必要な要素は何だろうか。
ペット市場概況
海外と比較して中国のペット産業は立ち上がりが遅かったものの成長は速い。これまでのフェーズは啓蒙期、立ち上げ期、成長期の三つに大別できる。
■啓蒙期(1990~1999年):ペットの概念が広まり始めた時期。伴って海外のペット関連ブランドが中国に進出しはじめ、ペットビジネスの概念が持ち込まれた。
■立ち上げ期(2000~2009年):中国国内でペットの数が急増し、1999年の4000万頭から一気に1億頭を越した時期。医療や美容などのニッチ産業が興り、業界は多元化の様相を示した。「中寵食品(China Pet Foods)」「佩蒂寵物用品(Peidi Pet Products)」などの自国メーカーが次々と誕生した。この時期の流通は依然としてオフラインが主流だった。
■成長期(2010年~):IT技術の進化により、消費シーンが徐々にオンラインに移行した。
ペット関連の消費を促す要素は一人当たりGDPや可処分所得の増加だ。ペルソナリポートによると、経済発展が進んでいるエリアはペットを飼う人の比率が高い。比率が最も高いのは広東省で、14.74%に上るという。
少子高齢化がますます顕著になる中、ペットに対する思い入れも強くなる傾向があり、中国の多くの人々にとってペットは家族の一員あるいは子どものような存在となっている。ペット関連の消費がアップグレードする背景にはこうした感情的な要因がますます大きくなってきているのだ。
ペット市場の規模
ペルソナリポートによると、中国で飼育されるペットの数は2016年に1億頭を超えた。しかし人口比で考えれば1人当たり0.07頭となり、ペット飼育者の割合は世界的にみて低い。米国では1人当たり0.66頭のペットを飼育している計算で、中国の約10倍に相当する。
中国で飼育されるペットはイヌやネコが主流だが、最近では多様化も進んでおり、水生生物や爬虫類、げっ歯類なども人気となっている。
ペットに惜しみなくお金をかける傾向も強まっている。ペルソナリポートによると、6割の飼い主がペット関連の支出に年間3600元以上をかけている。
中国におけるペット関連の市場規模は2018年に1722億元(約2兆7500億円)に達した。2013年の3倍に相当する額で、今後数年は急成長が続くとみられる。
以下、消費者の需要の核心をジャンル別にみてみる。
■ペットフード
飼い主として最も気になるのはペットが口にするものの安全性や栄養面だろう。中国のビッグデータ運用プラットフォーム「極光大数據(JIGUANG)」の調べによると、59%の飼い主がペットフードを選ぶ際に安全性と品質を最も重視するとした。ペットの食事も献立が細分化し、栄養バランスを考慮するようになり、幼犬から老犬までの各段階に合わせたオリジナルレシピや犬種別のオリジナルフードなどがますますトレンドとなってきている。ビタミン、プロバイオティクス、カルシウムなどを含む栄養補助食品も急速に伸びている。
■ペット用品
ペルソナリポートによると、ペットを飼育する人の7割は18~35歳で、1980~1990年代生まれが主力だ。この世代は見た目と中身を同様に重視するため、見栄えがして斬新なデザインのペット用品が人気だ。ペットウェアや首輪など、実用性が高くないグッズも買う傾向がある。
ペット関連の消費がアップグレードした原因には、関連商品の品目が増えたことと、既存商品が進化したことの両方がある。またペットを飼う若者の多くは多忙な生活でペットを世話する時間を捻出するのが難しく、スマートデバイスを利用することでこれを補完することもある。自動的にエサを与える機器やウェアラブルデバイスの類がますます人気だ。
■ペット医療
ペット医療に関しては恒久的な需要が突出してきている。中国ではまだブルーオーシャンと言える領域で、多くの資本が流入して市場のパイを争っている。
極光大数據の統計では、半数以上のペットが過去1年以内に医療機関を受診しているが、飼い主の医療サービスに関する満足度は決して高いとは言えない。料金体系が定まっておらず、価格設定が不透明な点も多くの飼い主の悩み事となっている。
ペット産業をとりまくサプライチェーンは製造、販売、サービスの三つに分けられるが、それぞれに多様な業種が含まれる。米国のペット市場では通常、一企業が買収・合併を繰り返すことでサプライチェーンが統合され、リーディングカンパニーが生まれてくる。中国企業でもこうした海外市場の経験を取り入れた中寵食品のような企業が現われている。
続き:<犬や猫が「家族化」、出費惜しまぬ傾向も=ペット市場のチャンス(二)>
(翻訳・愛玉)
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