吉利、NIOの電池交換子会社に30%出資へ 配車向けEVの充電時間「1日最大90分短縮」
中国の自動車大手・吉利グループ(Geely)と電気自動車(EV)メーカー「蔚来汽車(NIO)」は2026年9月28日、EVの充電・電池交換事業をめぐる戦略的提携を結んだと発表した。両社は互いに相手方の子会社に出資し、資産の統合を進めるとともに、電池交換の技術や規格を共同で開発する。電池交換ステーション網の構築に巨額を投じてきたNIOの子会社「蔚来能源(NIO Power)」に、新たな株主が加わることになった。
吉利は、電池交換ステーションを手がける傘下企業「易易互聯」の全株式と現金6億4000万元(約150億円)を拠出し、蔚来能源の株式を取得する。株式取得後は、吉利の持ち株比率は30%となり、NIOは63.6%で筆頭株主にとどまる。今回の取引が完了すると、蔚来能源の企業評価額は約160億元(約3700億円)に上る見込みだ。一方のNIOは、吉利傘下の充電設備メーカー「浩瀚能源」の株式10%を取得する。なお、一連の取引には関連当局の承認などが必要となる。

NIOとGeelyがEVの充電・電池交換事業の戦略的提携を結んだ
今回の提携の背景には、中国でEV充電・電池交換事業をめぐる競争が一段と激しさを増していることがある。例えば、中国電池大手の寧徳時代(CATL)は交換しやすくモジュール化された「板チョコ型電池」を打ち出し、複数メーカーのEVが使える電池交換ステーション網の構築を進め、北京汽車(BAIC)や奇瑞(Chery)などの自動車メーカーと協力して対応車種を投入している。また、比亜迪(BYD)はメガワット級の急速充電ステーションの建設に力を入れている。業界は、充電・電池交換のスピードだけを競う段階から、サービス網の広さや対応車種の数、運営コストなど総合力が問われる段階へと突入している。
中国では以前から、電池交換と急速充電のどちらが優れているかの議論が続いてきた。充電は電池の取り外しや交換を伴わないが、依然として時間がかかる。一方、電池交換は所要時間が短くてすむが、ステーションの数や電池の在庫管理、車両の設計が課題となっており、ステーションの利用率を高めることが、電池交換サービス拡大の鍵となる。
NIOと吉利による提携の目的は、より多くの車種が利用できる電池交換サービスを提供することだ。主に配車サービスの商用車を対象としている「易易互聯」の電池交換ステーションは、蔚来能源が引き継ぐ。また、吉利は電池交換が可能な自家用車の開発も計画しており、蔚来能源がその電池交換サービスを手がける。両社は技術や規格を統一する予定だが、具体的な車種や導入時期は現時点で明らかにされていない。
NIOは電池交換の技術やサービス網、運営ノウハウを提供し、吉利は商用車事業や新車種の開発を担う。両社はリソースを共有することで、サービス網の構築や運営を合理化するとともに、充電インフラの相互接続も進める方針だ。
中国には巨大な配車サービス市場が存在する。NIOの秦力洪社長は、電池交換ネットワークと配車システムを充実させれば、商用車1台にかかる充電時間が1日当たり最大90分短縮され、理論上は売り上げが15~20%増加するとの試算を示した。一方、自家用車と商用車の電池交換ステーションは別々に運営されており、既存の車種が双方の電池交換ステーションを利用できるようになるには時間がかかると説明した。

NIOの電池交換ネットワーク
9月28日時点で、蔚来能源は中国に4129カ所(うち高速道路が1063カ所)の電池交換ステーションを建設しており、30年までに1万カ所へ増設する計画だという。また、充電ステーションは全国5320カ所に上る。NIOの李斌会長は自社の充電ステーションについて、当初からさまざまなEVブランドに対応しており、ユーザーの約87%が他社の車種だと説明した。吉利との提携によって、電池交換サービスのユーザーを拡大し、より多くの車種の充電・電池交換ニーズに応えることを目指す。
*1元=約23円で計算しています。
(翻訳・大谷晶洋)