「この業界は皆が思うほど儲からない」、大人気茶飲料「奈雪の茶」創業者へ独自取材 

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「この業界は皆が思うほど儲からない」、大人気茶飲料「奈雪の茶」創業者へ独自取材 

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2015年、彭心氏が茶飲料ブランド「奈雪の茶(NAYUKI)」を立ち上げたばかりの頃、ショッピングモールで1階入り口の目立つ場所に出店したいと掛け合っても、「スターバックスでもあるまいし」と商業施設側からすげなく断られていた。

それから4年、両者の立場は変わりつつある。多くの商業施設がNAYUKIのようなトップクラスの茶飲料ブランドを引き入れようと、かなりの好条件を提示してくるようになった。入り口付近という立地条件や相場より低い賃料だけでなく、他のテナントを追い出してまでもNAYUKIに広い空間を提供するようになった。

ここ数年、新スタイルの茶飲料業界の、投資を引き付ける力とイノベーションは、想像をはるかに上回っている。NAYUKIや人気ティードリンク店「喜茶(HEYTEA)」などの上位10社が調達した資金は累計30億元(約460億円)近くにも上る。業界上位を占めるブランドは評価額が高く、新規株式公開(IPO)の機会もうかがっている状態だ。

(36氪研究院提供)

だが、この業界は競争もし烈を極める。2018年、NAYUKIは評価額が60億元(約930億円)を超え、業界初のユニコーン企業となった。ところが半年後、ライバルのHEYTEAが新たなラウンドで資金調達を実施。業界で初めて評価額100億元(約1550億円)規模のブランドとなり、NAYUKIと立場が逆転した。彭氏の言葉通り、この業界は上位1位か2位でなければ生き残れないようだ。

茶飲料業界のスターバックスを目指すという創業者の彭氏は、このほど36Krの独占インタビューに応じ、次のように語った。

――新スタイルの茶飲料製品は、独自性が低いという見方もあります。

「初期の段階では商品の独自性は存在するが、業界全体のサプライチェーンが成熟するにつれ、実は商品の独自性というものは薄れていく。コーヒーブランドも大きく差別化されているわけではない。今はどこもアラビカ豆ばかりだ」

「奈雪の茶(NAYUKI)」の定番商品

「現在、新スタイルの茶飲料業界は競争が多次元化しており、あらゆる面をしっかりと整えることが求められている。われわれやHEYTEAのような規模になると、目に見えるのは店舗体験だが、その裏側ではシステム全体をうまく動かす必要がでてくる。1万3千人のパートナーたちとどのように協力し、どのようにして全員を顧客を満足させられるレベルまで引き上げるか。これは私にとって特に重要な課題となっている」

――では、どのように差別化を図るのでしょうか。

「今後はブランドによる差別化が進むと思っている。多くの顧客はスターバックスと『luckin coffee(瑞幸珈琲)』は全く違うと認識していても、両者のラテに違いがあるかどうかまでは考えないのではないだろうか」

――新スタイルの茶飲料業界の利益率は、高いのでしょうか。各店舗の平均粗利率は50%前後と、従来の茶飲業界より低いようですが。

「その通り。この業界の粗利はそれほど高くない。食材の原価が高く、人件費も高い。コーヒー(業界)とは違う。コーヒー業界で高いのはテナント料と人件費だ」

――コストについては、現在どの分野が占める割合が大きいですか。

「実際のところ、どれも同じように大きい。だいたいにおいて1店舗あたりの出店コストは約300万元(約4650万円)。個別に見ると、食材の割合が最も高く、およそ4割を占めている」

――サプライチェーンの川上における原材料費を抑えるなど、コスト削減の方法は。

「それほど簡単ではない。原材料は直接調達しているが、それでも材料コストは高い。また、特に原料(の調達)が不安定なのが課題だ」

――原材料コストを抑えることは、なぜ難しいのでしょうか。

「製茶は品質を安定させるのがとても難しい。われわれは毎月、茶葉から調合し、パッキングしてから全国の店舗に発送している。茶葉の味や風味はその都度異なるため、その度にブレンドの調整が必要となる。農産品は画一化された工業製品と違って、管理を要する中間プロセスが非常に多い」

――中国の茶飲料ブランドによる海外出店も進んでいますが、どうすればグローバルブランドを確立できるでしょうか。

「まずはグローバルブランドの確立が必要だと考えている。それがなくては話にならない。次に標準化だ。店舗での接客を通じたブランド体験に加え、サプライチェーンと生産工程を標準化する。バックヤードには、より厳しい標準化と安定した機能が必要だ。長い間、茶葉のサプライチェーン関係者が標準化を語ることはなかった。それぞれが、自身の産地は特別だと言うばかりだったが、それでは世界に通用しない。今年3、4月には米ニューヨーク1号店をオープンさせる。出店先は北米最大のショッピングモールで、ニューヨーク全域からの集客が期待できる」

――最近、茶飲料業界に対するマイナスの声も聞かれますが。

「業界の成長スピードが速すぎた。当然、マイナス意見が出てくる時もあるだろう。どうかもうしばらくお待ちいただけないか。皆さんにわれわれがさらに良くなっていく姿をお見せしたい。この業界への理解も深めていただけると思う」

(画像は全て奈雪的茶より提供)
(翻訳:貴美華)

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