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新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が一向に収まる気配を見せない中国では、街中の携帯ショップからも工場からも人が消え、スマートフォン産業が大きな打撃を受けている。しかも世界のスマートフォンの70%が中国で生産されていることを考えると、全世界に波紋が広がることは不可避だろう。
市場調査会社ストラテジー・アナリティクス(Strategy Analytics)のリポートによれば、今年2月下旬から3月頃に新型肺炎が収束に向かうと仮定した場合、今年第1四半期の中国のスマホ出荷台数は30%減少する見通しだという。全世界の年間出荷台数は予想より2%減少し、中国メーカーの出荷台数に限れば5%の減少が見込まれるとのこと。
リポートによれば、コロナウイルスの影響をまともに受けているのがファーウェイ、OPPO、vivo、シャオミなどの中国メーカーで、2020年上半期は中国市場で苦戦を強いられるとしている。
中国にiPhone製造拠点を置いているアップルだが、2020会計年度第1四半期決算後の電話会議で、ティム・クックCEOは新型肺炎が及ぼす脅威について言及している。感染が最も深刻な武漢のサプライヤーから別の地域のサプライヤーへ切り替えることができるとしながら、中国工場の操業再開は当初の1月末から2月10日へとずれ込むことを明らかにした。
中国でのスマホ販売業務にも大きな影響が及んでいる。アップルは中国本土にある全店舗を2月9日まで営業停止とすることを明らかにした。サムスンも同時期に中国最大の旗艦店の一次閉鎖を決定。シャオミは2日から、OPPOは3日から一部地域を除いて店舗やカスタマーセンターの営業を再開すると発表していた。しかし、地域によっては自治体が操業再開の延期を求めていることもあり、どのメーカーにとっても営業再開は一筋縄ではいかないようだ。
新型肺炎がスマホ業界に及ぼす影響について、シャオミの盧偉冰副総裁は中国版ツイッター微博(Weibo)で次のようにつぶやいていている。「影響は大きいだろう。短期的には消費の落ち込み、中期的にはサプライチェーンへの影響、長期的には購買力の低下だ」
「消費の落ち込み」はすでに表面化しており、「サプライチェーンへの影響」も出始めている。長期的には、世界中で進展する5G計画にも大きな影を落とすことになるだろう。5G対応スマホは、不振にあえぐスマホ業界の救世主と見なされてきた。しかし新型肺炎の影響で2020年上半期は5G機種の出荷台数は伸び悩み、業界全体の回復をさらに阻むことになるとストラテジー・アナリティクスは警告する。
データによると、昨年の5Gスマホの出荷台数は世界で1870万台に達した。出荷台数首位のファーウェイは36.9%のシェアを占める。米国による輸出規制のため、ファーウェイの購入者はほとんどが中国人だ。シェア35.8%で2位につけたのはサムスンで、さらにvivo、シャオミ、LG電子と続く。
ストラテジー・アナリティクスによれば、2019年の5Gスマホの大口ユーザーは中国人と韓国人だったという。新型肺炎のニュースで幕を開けた今年、5G戦略を巡る勢力図にまた変化が生じるだろう。
(翻訳・畠中裕子)
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