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中国の自動車大手「吉利控股集団(Geely Group Holdings)」は2月10日、ボルボ・カー(Volvo Cars)との合併を進めていることを明らかにした。双方の連携を強め、技術開発やコスト管理、財務面でさらなる相乗効果を生み出すことが狙いだ。
吉利側の発表によれば、合併後もボルボや「吉利汽車(Geely Automobile)」、「領克汽車(Link&Co)」、「ポールスター(極星)」などグループ傘下のブランドはそのまま維持するという。合併後の新会社は香港証券取引所に上場してグローバル市場へのさらなる足がかりとするほか、スウェーデンのストックホルムに上場することも検討しているという。
これまでボルボは紆余曲折の連続だった。1999年にフォードが65億ドル(約7200億円)で買収するも、2009年の金融危機で吉利へ売却を余儀なくされる。18億ドル(約2000億円)で吉利のもとに売られた後は勢いを取り戻し、現在では時価総額が160億ドル(約1兆7600億円)を超えるまでになっている。
ボルボの直近の決算によれば、売上高は2018年に比べ8.5%の増加となる1987億元(約3兆1300億円)、全世界での販売台数は71万台だった。2019年の吉利汽車の販売台数が136万台だったことを考えると、2社の合併により販売台数200万台超、時価総額350億ドル(約3兆8500億円)以上の自動車メーカーが誕生することになる。この時価総額は、中国自動車メーカートップの「上海汽車(SAIC)」を上回るものだ。
2010年に吉利がボルボ株を買い取ってしばらくは、ボルボの主導権を握るわけでもなく双方が独立したブランドで運営を行ってきた。10年前の吉利のこの選択は、ボルボという高級ブランドとの提携のチャンスをつかむための布陣だったのだ。ボルボにとってもフォードで培った技術を大きく向上させるための機会となった。
吉利のブランドは大衆向けのため、ボルボと提携することで弱点を補うことができ、海外市場への進出にも弾みがつく。一方のボルボは吉利のリソースを活用して中国市場の開拓を進めることができる。ドイツ系高級自動車「BBA(ベンツ、BMW、アウディ)」への対抗策として、ボルボは価格を調整することで昨年は中国国内で16万台以上を売り上げた。
以前の協議によれば、吉利が取得するのはボルボの商標や完成車工場、販売体系だけでなく、エンジンや金型、電子制御技術などに関わる1万1000件もの特許も含まれる。ただ一部の特許はボルボがフォードと共同で開発したもので、欧州特許権の存続期間20年のうち10年が残っている。吉利がこれらの特許を手に入れたとしても、現時点で自由に利用することは不可能だ。
吉利がこのような関係に満足していなかったのは明らかだ。2013年以降、両社は頻繁に研究開発センターや共同出資会社の設立を行ってきた。2019年にエンジン事業の合併に踏み切ったのも、さらなる提携の前触れだったといえる。
また香港とスウェーデンの2カ所に上場することで両地域の投資家を引き入れ、さらなるグローバル化を進めることができるだろう。
ここ数年、吉利はM&Aを繰り返している。2017年にはマレーシアの自動車メーカー、プロトンの株式49.9%を、さらに英高級車ロータスの株式51%を取得。少し前にもダイムラーの株式9.69%を取得している。創業者の李書福氏が描く自動車帝国がいまや姿を現しつつある。
※アイキャッチ画像:ボルボ
(翻訳・畠中裕子)
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