【分析】EV、自動運転、IoE・・・自動車業界、今後10年どう変わっていくのか

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先日、米金融大手バンク・オブ・アメリカが「今後10年の十大テーマ」というリポートを公表した。そのうち自動車産業と直接関係するのはEV(電気自動車)化、自動運転、AI+IoTだ。これら怒涛のごとき潮流は2020年代にピークに達し、既存のモデルを完全に覆し、投資の動向さえ左右するだろう。

2020年と2030年の対比 :図表はバンク・オブ・アメリカより

新エネルギー車が業界をリード

バンク・オブ・アメリカは「2020年代はクリーンエネルギー・ソリューションの10年になる。最大の勝者になるのはクリーンエネルギーとEVだろう」と指摘した。

2020年米国株式市場での取引開始初日(1月2日)、テスラの株価は418.5ドル(約4万6000円)に達し、さらに時価総額も754億200万ドル(約8兆2000億円)となった。100年の伝統を持つゼネラルモーターズやフォード ・モーターなどを大きくリードし、トヨタに次いで世界第2位となる。またテスラに引っ張られる形で中国新興EV「蔚来汽車(NIO)」「小鵬汽車(Xpeng Motors)」「威馬汽車(WM Motor)」なども躍進している。

写真提供:Pixabay

ガソリン車の販売台数が減少していく中、従来の自動車メーカーもみな新エネルギー車への賭けに出た。今後10年のシェアを確保すべく、大手自動車メーカーでさえ次々にEV事業へと参入している。

600億ユーロ(約7兆1000億円)を費やしてEV化にかじを切ったフォルクスワーゲンは昨年10月31日、最新のEV化戦略計画「goTOzero」を発表した。2020年中に既存モデルに基づく新エネルギー車10モデルをリリース、また2023年までにフォルクスワーゲンのピュアEV「ID.シリーズ」をファミリーカーも含め10モデルに拡大すべく、2022年までに世界にある8工場を再編してEV車の生産に当たらせる計画だ。さらに2028年までに約70モデルをリリース、世界で約2200万台を生産し、2050年までにカーボンニュートラルを完全達成すべく尽力するという。

ハイブリッド技術で知られるトヨタもEV化プロセスを加速しており、2025年までにハイブリッドカー、プラグインハイブリッドカー、ピュアEV、燃料電池車(FCV)などのEV約550万台を販売し、特にピュアEVの販売台数を約100万台に引き上げることを目標に設定した。BMW、メルセデス・ベンツ、アウディなどの従来型自動車メーカーも、新エネルギーへの移行を加速している。

ガソリン車の台数は2020年代に減少し始める:図表はバンク・オブ・アメリカより

自動運転がもたらすビジネスチャンス

2020年代にAIもIot化する:図表はバンク・オブ・アメリカより

バンク・オブ・アメリカのレポートによると、2020年代には自動運転車がモビリティサプライヤーやテクノロジー企業に新しいチャンスをもたらすという。

米国に拠点のある自動車技術者協議会(SAE)の分類基準では、自動運転はL0〜L5の6段階に分けられ、レベルが高いほど自動化の度合いは高くなる。 完全自動運転はレベル5だが、現状で可能なのはレベル3(条件付運転自動化)までだ。

グーグルから分社化した自動運転の「Waymo」は2018年、米アリゾナ州都フェニックス郊外での「Waymo One」自動運転タクシーサービス開始により商業化への第一歩を踏み出した。WaymoはApp StoreでもiOS用のWaymo Oneアプリをリリースしている。

このほか、独自動車メーカー「ロバート・ボッシュ」や「コンチネンタル」、自動運転車用の地図サービスを提供する中国の「四維図新(Navinfo)」なども2020年中のセンサーソリューションの導入を宣言している。

IoEによるモビリティサービスの革命

IoEによって繋がるスマートシティ:図表はバンク・オブ・アメリカより

バンク・オブ・アメリカによると、現在の都市交通の市場価値は7000億ドル(約76兆円)に達しており、今後10年間でEVとシェアモビリティは交通手段として実用化され、スマートモビリティの導入によりエネルギー消費は30%、交通渋滞による損失も20%削減されるという。

2019年初頭、BMWとダイムラーは共同でカーシェアリング会社「ShareNow」を設立した。「中国第一汽車( FAW)」「長城汽車(Great Wall Motor)」「吉利汽車(GEELY)」「上海汽車(SAIC Motor)」「東風汽車(Dongfeng Motor)」などの従来型自動車メーカーや、「小鵬汽車」「威馬汽車」などの新興自動車メーカーも自社組織の立ち上げ、提携、投資、買収を通じてモビリティ事業へ進出し始めている。

総論

中国は2030年までにAIで米国を抜き、世界トップになる可能性が高い。

各国のAI論文とネットユーザーの比較:図表はバンク・オブ・アメリカより

インターネットユーザーが最も多い中国はデータ量で米国を凌駕している。自動運転データの収集に関してはバイドゥ(百度)、テンセント、アリババなどの中国企業のほうが、Google、Amazon、Appleなどの米国企業よりも有利なのだ。

自動運転とシェアモビリティはどちらもAIを基礎に発展した。 中国がAI分野で米国を追い抜くことは、「CASE(Connected-コネクテッド、Autonomous-自動運転、Shared-シェアリング、Electric-電動化)」による激動後も、中国が自動車産業で優位に立ち続けることを意味している。
(翻訳・永野倫子)

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