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「脳卒中」とは急性脳血管疾患の一種であり、血液が大脳に流れなくなるために引き起こされる脳組織の損傷を指す。血管が詰まることで引き起こされるのが脳梗塞、血管から出血することで引き起こされるのが脳出血だ。治療にはいずれも手術が必要となる。
脳出血(脳動脈瘤)患者の手術には脳動脈瘤用塞栓コイルが必要である。中国では最高ランクの三類に分類される医療機器だ。数年前からこの研究・開発に挑戦する中国企業が続出しているものの輸入製品とは程遠い水準で、現場の医師からの評判は芳しくない。そのため国産製品シェアは10%に満たないのが現状だ。
英医学誌「ランセット」の昨年3月のリポートによると、全世界における脳卒中の罹患者数は2016年に1370万人となっており、そのうち中国人が551万人だという。10人の罹患者のうち約4人が中国人という計算だ。中国の循環器学専門誌「中国循環雑誌(Chinese Circulation Journal)」が2018年に発表した「中国脳卒中予防・治療報告」によると、中国では毎年150~200万人が脳卒中を発症しており、その患者数は2030年までに3177万人に達すると予想される。
急速に成長する市場と政策の後押しもあり、中国企業はこぞって脳動脈瘤用塞栓コイルの国産化に弾みをつけている。2015年に上海で設立された「沃比医療(Wallaby Medical)」もそのうちの一社だ。同社は医療機器大手メドトロニック出身のMichael Alper氏が創業した。
Alper氏によると、インターベンション(内科治療と外科治療の中間に当たる、カテーテルなどを用いた低侵襲性治療)関連の医療機器市場で中国製品が占める割合は非常に低い。また手術の難易度自体が高い故に医者にも相応の技術が求められ、執刀医はリスク回避のためにも世界水準の輸入製品を選ぶのが通常だ。沃比医療は世界水準のインターベンション機器を自主開発し、国産機器のシェア向上を目指す。
Alper氏の推計では、脳卒中関連のインターベンション市場は中国内で550億元(約8500億円)規模に達している。脳動脈瘤用塞栓コイル市場も今後5年間は最低15~20%のペースで成長していくとみており、同社もその研究・開発に着手している。初製品はすでに完成しており、110の関連規格に合格済みだという。
事業化に当たり、同社の脳動脈瘤用塞栓コイルは2018年5月にFDA(米食品医薬品局)の販売許可を取得。翌年8月に米国で正式に発売し、中国製塞栓コイルとしては米国初の製品となった。本来のターゲット市場は中国だが、自社のスピーディーな成長やキャッシュフローの確保を考慮し、まずは製品に求められる規格がより自社製品にフィットする米国での販売に踏み切ったという。
Alper氏によると、沃比医療は脳出血治療に用いる塞栓コイル以外に、脳梗塞治療向けの機器も開発中だ。すでに開発を終え、認証段階に入っているという。脳動脈瘤用塞栓コイルおよび脳梗塞向けの血管内治療機器(一部の適応症向け)は年内に中国で認証登録を完了し、2021年には適応症をさらに拡大させた血管内治療機器を中国で発売する予定だ。
同社は現在、シリーズCでの資金調達を準備中である。
画像:Gerd Altmann(Pixabay)
(翻訳・愛玉)
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