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新型コロナウイルスの感染拡大が収まらないなか、ケータリングやフードデリバリーのプラットフォームでは非接触型の配達方法が一般的になってきている。春節休暇以降はリモートワークを導入してきた企業も、2月17日から大半が正常業務を再開しており、公共交通機関を利用して通勤する際の安全性はもちろん、職場で食事をとる際の安全性をいかに確保するかということに社会的関心が高まっている。
36Krはこのほど、非接触型ケータリング・ソリューションを提供する「悠飯団餐(Youfan tuancan)」に取材した。同社は、企業向けにケータリング・フードデリバリーのプラットフォームを運営するスタートアップ。社員食堂がないが、従業員に食事を提供する必要のある企業などを対象に、ケータリング・サービスを提供している。利用者はアプリから注文できるため、外出することなく食事をとることができる。
感染拡大が収まらないなか、飲食料品のテイクアウトやデリバリーなどの利用でオフィスに出入りする人が多くなれば、それだけ感染リスクを高めることになる。悠飯団餐はこうしたリスクを回避して、従業員の安全確保を図りたいという企業をサポートするサービスだ。キッチンスタッフやドライバーの健康管理も行っており、毎日午前と午後の2回、体温測定を実施。利用者はアプリの注文画面にある「安心カード」をいうページからチェックすることができる。
悠飯団餐のサービスは次の3つのステップから成る。
・ケータリング業者の厳選:要件を満たす業者を厳選し、オフライン評価を実施する。業務を再開した業者の全従業員に健康診断を行い、感染症予防対策をリアルタイムで追跡して公表する。
・非接触型配達:60℃で30分間滅菌する。配達中は保温ボックスにも配達車両にも消毒を行い、ドライバーにはマスク着用を義務付ける。配達準備エリアに入る前に使い捨て手袋を交換する。30分前に弁当や調理済み食品をスマート保温ボックスに入れ、60°Cの一定温度を保って殺菌する。ボックスの外側も殺菌する。
・非接触型受け取り:1人につき1ボックスの利用とし、注文者はスマホのピックアップ通知をもとに、他の注文者と時間差で料理を受け取れる。
CEOの謝飛氏によると、悠飯団餐では「厳選されたケータリング業者+注文プラットフォーム+スマート保温ボックス」を標準にしている。これに複数回の消毒と監視モニタリングを追加したアップグレード版では、非接触型の配達と受け取りができるようにした。
従来、企業が社員食堂やケータリング・サービスを利用する上で次のようなデメリットがあった。1つ目は、従業員全員の好みに合う料理を提供するのは難しいという点。条件が限られるため、食堂を複数設けることはできないうえ、ケータリング業者が1社だけだと全員の好みに合わせることは難しい。2つ目は、企業の担当者がケータリング業者を選定するのに手間がかかるという点。従業員の要望をまとめ、業者を選定し、内容を吟味し、契約するというステップを踏むのに多大な労力を費やす。3つ目は、品質管理が難しいという点。「弁当が冷めている、美味しくない、口に合わない、食べ飽きた、配達が遅れる」といった苦情も担当者にはプレッシャーとなる。従業員の要望に応えようとして業者を頻繁に替えると、かえってコストが高くつく。4つ目は、利用者数が毎日変わるため、ロスが生じる点だ。
悠飯団餐はこうしたデメリットを解消しており、企業にとって低コストで利用できるお得なサービスとなっている。担当者は、一人当たりの予算や料理のグレード、種類や量、利用者数などを悠飯団餐に伝えるだけでよい。支払いは月ごとの精算で悠飯団餐と直接決済できる。
さらに業者の選定や注文・配達、設備のメンテナンス、苦情対応、決済などはすべて悠飯団餐が請け負ってくれる。利用者はアプリで直接注文するだけでよく、一食につき一定の上限額までは企業が負担してくれるので、超過分だけ支払えばよい。「料理の質を確保するために、利用者から毎回、評価を集めている。点数に基づいて業者の入れ替えを行っており、厳選した業者を常時10社以上確保している」(謝飛CEO)
収益モデルについては、ケータリング業者から受け取る販売手数料が悠飯団餐の主な収益源となっている。現在、北京と上海、広州、深センの主要4都市で事業を展開しており、500社以上のケータリング業者がプラットフォームに登録している。1000社以上の企業向けにサービスを提供しており、ユーザー維持率は90%に上る。代表的なユーザー企業として、中国IT大手「網易(ネットイース)」や中国保険最大手「中国平安集団(Ping An)」、配車サービス大手「滴滴出行(Didi Chuxing)」、人気ゲームプラットフォーム「貪玩遊戯(tanwan)」などが挙げられる。
中国の調理師協会である中国烹飪協会が発表した「2018年中国団餐業界研究リポート」によると、2017年の中国ケータリング市場のシェアは全体の28%を占め、売上高は1兆1900億元(約19兆円)に上った。また、中国の大手産業情報サイト「中国産業信息網(www.chyxx.com)」は、「2016-2021年の中国ケータリング市場発展予測報告書」の中で、向こう3年間にわたって12%以上の成長率を維持し、2021年までに売上高は1兆8000億元(約28兆8000億円)を上回るとの見通しを示した。
悠飯団餐のように、この1兆元超えの巨大市場を狙う企業は多い。例えば、36Krが動向を注視し続けている「美餐(Meican)」。企業向けにケータリング・サービスなどを提供する同社は、2018年にシリーズD+で数億元(数10億円)の資金調達を完了。翌2019年には、フードサービスを中心に総合施設管理事業などを展開する仏大手「ソデクソ(sodexo)」グループを戦略的投資家に引き入れた。海外市場でもケータリング・プラットフォームは資本市場から注目を集めている。2018年に米「ezCater」が1億ドル(約110億円)を調達したほか、2019年12月にはインドの「HungreBox」がシリーズCで1200万ドル(約13億2000万円)を調達した。
(翻訳・北村光)
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