業務用食材を手がけるアグリテック企業「望家歓」、O2O大手「美団点評」等より約90億円調達

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業務用食材を手がけるアグリテック企業「望家歓」、O2O大手「美団点評」等より約90億円調達

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業務用食材配送サービスなどを提供するアグリテック企業「望家歓農産品(Wangjiahuan)」(以下「望家歓」)が、シリーズBで6億元(約92億円)を調達した。リードインベスターは「美団点評(MeituanDianping)」、コ・インベスターは既存株主の「隠山資本(Hidden Hill Capital)」。財務アドバイザーは「泰合資本(TH Capital)」が努めた。

望家歓は1995年に設立され、農作物の作付けや栽培から加工、流通、農産物のブランド化および電子商取引、セントラルキッチンや飲食マネジメント、農業のIT化サービスおよびサプライチェーンファイナンスなどを行う。現在、同グループは130以上の支店と子会社を擁し、政府機関、学校、病院、外食チェーン、大型スーパーなど、約2万社にサービスを提供している。

望家歓は、世界有数の食品サプライヤー「シスコ(Sysco)」をベンチマークとしている。シスコは欧州と北米に330以上の流通代理店を擁し、今月7日(中国時間)現在、時価総額は340億ドル(約3兆6000億円)を超えている。

中国の食材配送市場にも同様の巨大な潜在力がある。中国飯店協会(CHINA HOTEL ASSOCIATION)が発表したデータによると、中国における飲食業の2019年の売上高は4兆6721億元(約72兆円)であり、そのうち団体向け飲食は約1兆2000億元(約18兆円)だ。しかし、比較的統合が進んでいる市場の米国に対し、中国は食材供給側でも買付け側でも個々の企業が独立して散らばっており、まとまりがない。望家歓董事長の高軍氏は「みんな個人プレイに慣れている。弊社の調べでは、どの都市にも配送会社が何百もある」と述べる。

それゆえに高軍氏は、合併買収(M&A)や経営統合が食材配送業界の趨勢であり、事業の成長にはコストをいかに削減し、効率を高めていくかが重要で、それこそが望家歓の強みだと考えている。

2017年、同グループはパートナー制度を立ち上げ、共同買付プラットフォーム、共同配送プラットフォーム、情報管理プラットフォーム、ブランドなど自社の業界リソースを開放した。持株制度を通じ、地域ごとの企業や川上~川下企業と提携し、農産物サプライチェーン・エコシステムを構築、中国全土へと急速に拡大した。

「サプライヤーは各地に散在しており、それぞれが卸売業者から購入して配送するので、買付価格と運用コストが比較的高い。パートナーシップ制度は規模効果を形成する。皆でまとめて産地から買い付けることでコストを抑え、運用効率を高め、大口顧客を獲得しやすくなる」と高軍氏は説明する。

望家歓は1~2級都市や区、県に「都市共同配送センター」と「県域農業発展センター」を設立し、「共同購入+トレーサビリティ+共同配送」のクローズドループを形成した。共同購入と共同配送により調達コストと流通コストを少なくとも3%ずつ削減し、提携先の収益性をトータルで6%改善すると見込まれる。

望家歓は農業発展センターを通じて産地との結びつきを深くし、産地での直接仕入れを実現した。これにより仕入れ価格は卸売市場価格よりはるかに安くなり、利益率も収益性も向上した。

一方、共同買付プラットフォームの受注データが農業発展センターに集約されることにより、地元の農家や協同組合が前もって生産計画を立て、販売見込みに基づいた生産ができるようになった。同グループは、これらの施策が農家の期待収益を増やし、生産意欲を引き出し、産地の振興につながると期待している。

望家歓本社

投資家との業務提携に関して、高軍氏は「美団点評は飲食業界でよく知られたエコシステム(ビジネス生態系)型の企業であり、サプライチェーンが充実している。我々は互いの強みを生かし、仕入れ、流通、人員、車両などで協力する。投資家の方々の支援と協力により、望家歓はより速く、堅実に発展する」と語った。

リードインベスター美団点評の投資担当シニアディレクター周羽氏は「ここ数年、政策の変化と食品安全要求の高まりに伴い、この分野は非常に盛り上がっている。我々は『富める者はさらに富む』とのマタイ効果がより強く現れると考える。望家歓グループは団体向け食材配送分野でのトップ企業であり、サプライチェーンと資金に関して、先発者の強みが大きいと判断した。美団点評は、望家歓が今後3年間で中国全土に広く展開し、美団点評と望家歓が強力な相乗効果を発揮すると期待する」と語る。

コ・インベスター隠山資本の東方浩董事長は「望家歓は25年の間に豊富な運営経験と顧客リソースを蓄積してきた。ここ数年、望家歓はその事業力をインターネットに結びつけ、優れた提携先企業、ひいてはあらゆる飲食業態をブーストし、業界全体の安全性、品質基準、およびサービス水準を向上させた」と語る。

財務アドバイザーを務めた泰合資本の付超平董事長は「望家歓グループは、率先して業界の統合とアップグレードを提案、促進し、同グループの先進的な情報技術、運用管理システム、強力な資質やブランドはパートナー企業を活性化し、業界標準を確立した。 我々は、望家歓が引き続き業界をリードし、スマート化された農産物サプライチェーンの新しいエコシステムを創出し、『共生、共有、共栄』を打ち出していくと確信している」と語った。

カバー画像:Pexelsより
(翻訳・永野倫子)

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