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エコー検査は通常の医療で頻繁に用いられる診断装置だ。だが、エコー室での検査だけでは臨床現場の需要は満たせない。もっと多くのシーンで柔軟にエコー検査を活用できるようになる必要が高まる。例えば診察中に直ちにエコー検査を行う必要が出てきた場合や、あるいは町の小さな診療所や農村部の医療機関でエコー診断装置を持っていない場合、臨機応変かつ便利に検査を実施できるソリューションが必要だ。
このような背景のもと、エコー検査の設備は徐々に持ち運び可能な仕様に変化してきた。据え置き型の大型機器から、ポケットサイズの小型機器へ進化してきたのだ。ポケットサイズのエコー画像診断装置は1980年代の米国で軍事用として誕生した。携帯電話ほどの大きさで、それまでの超音波画像診断装置とは一線を画していた。
中国にもこうした装置の開発に取り組んでいる企業「飛依諾科技(VINNO Technology)」がある。デジタルカラードップラー診断装置や医療のIT化ソリューションを提供しており、世界初の防水機能を備えたポータブル式エコー診断装置を発表した。
VINNOによると、中国の医療体制は「分級診療」制度が採られている。医療機関をランク分けし、治療の段階に応じて患者に適切な医療機関を割り振り、医療リソースを効率的に分散させる制度だが、この制度により、低ランクに位置付けられる「基層医療機関」ではエコー診断装置への需要が突出して多くなっており、ここへ手軽なポケットサイズの装置を導入できれば診断の大きな助けとなる。また、将来的には日々の健康管理に役立てるべく一般家庭への普及も想定している。
同社が最近発表した世界初のIPX7規格の防塵・防水性能を備えたポータブル式エコー診断装置「VINNO Q」シリーズは、コンベックス型、セクタ型、リニア型と3種類のプローブに対応し、腹部、体表血管をはじめとした部位、また産婦人科、泌尿器科、ICU、救急外来など多くの診療科で使用できる。
同シリーズが実現した重要な技術的進歩は、IPX7規格の防水機能を備えた点だ(IPX7=深さ15~100センチの水に30分間浸しても機器内部に浸水しない)。つまり、浸け洗いで消毒できるため、病原菌・ウィルスの伝播を防ぎ、新型コロナウィルスの治療現場など高リスクな医療シーンに適しているということだ。
VINNOの創業者、田園氏によると同社のポケットサイズ超音波画像診断装置は国家薬品監督管理局(NMPA)の認証を得ており、昨年には欧州のCEマークも取得している。つまり、製品はまもなく市場に流通するということだ。同社のターゲットは公立医院の診療科および各地の基層医療機関だという。
同社はこれまでに30機種以上のデジタルカラードップラー診断装置を発表してきた。心血管、腹部、産婦人科領域など多くの部位に使用でき、すでに300件近い特許を有している。中国科学技術部は2016年、VINNOなどが開発するポータブル式超音波画像診断装置を2016~2020年の重点プロジェクトの一つとして指定した。VINNOは現在、約300人のグローバル人材を結集しており、そのうち半数以上が15年以上の研究・開発経験を有している。創業チームは画像診断装置の小型化に20年以上を費やしてきたメンバーだ。
医療分野におけるFA業務に強い「探針資本(PROBE CAPITAL)」およびヘルスケア技術分野専門の英調査会社「Signify Research」の調査によると、世界の超音波画像装置市場は2021年までに105億ドル(約1兆1300億円)規模に達し、年平均成長率(CAGR)は7%で推移する。ポータブル式の装置に限って言えば、その市場は2017年から2022年までの間に年20%のペースで成長するという。同分野ではオランダのフィリップス、米国のGEヘルスケア、カナダのClarius Mobile Health、米国のButterfly Networkなど14社が参入しており、そのうち中国企業は6社。市場は巨大なブルーオーシャンとなっている。
田園氏は「現在の市場競争は主に二つの側面に分けられる。一つ目は技術と製品のブレークスルー。シンプルで使いやすく、迅速に診断を行える機器の普及を加速し、臨床医が常備する機器にすることを目指し、その次に家庭向けに着手する。二つ目は、新たな事業スキームを探り、従来の販売方式に比べ多くの企業にとってよりよい販促アプローチを見出すことだ。Butterfly Networkは設備を安価で販売し、その後にサービス料を徴収するモデルをとっている。こうした新しいスキームを業界全体で模索中だ」と述べている。
(翻訳・愛玉)
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