中国、金融業などに広がる声紋認証 一声で本人確認

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中国、金融業などに広がる声紋認証 一声で本人確認

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声紋認証技術の研究開発を行う「得意音通(d-Ear Technologies)」は、「涌鏵投資(Yonghua Capital)」が主導する新シリーズで数千万元(数億円)を調達したことを発表した。調達した資金は優秀な人材の確保や、声紋を活用した信頼性の高いAI技術の研究開発および新事業の開拓に充てる。

2002年に設立された得意音通は、声紋認証、自然言語処理、音声感情認識などの技術を研究開発しサービスを提供する企業で、この分野における独自の知的財産権を有している。

身体的な特徴で本人確認を行う生体認証には、顔認証、指紋認証、声紋認証、虹彩認証などがある。その中でも得意音通が声紋認証に特化した理由として、声そのものが話し方、感情、性別、声紋などさまざまな特徴を含んでいることが挙げられる。さらに網膜、指紋、顔など他の身体的特徴を使った認証と比べて、声紋認証は純粋にアルゴリズムに基づく低コストの技術であり、一言発するだけで本人確認から音声認識、ニュアンスまで全てを解決することができる。

同社の主力製品は声紋認証と音声認識をベースに開発した本人確認システム「声密保」だ。このシステムではランダムな数字を生成してユーザーに読み上げてもらい、読み上げた数字の照合と声紋の認証を同時に行って本人確認を行う。この声紋認証サービスは金融、社会保険、行政、公安、IoTなどの分野ですでに実用化されている。

得意音通が提供する声紋認証技術の強みは複数ある。まず、連続3300万回のテストでもエラーあるいは故障がゼロという安定したシステムであること。また並列分散処理を採用したことで、具体的なニーズに合わせて柔軟に調整することができ、数人単位から20億人まで対応できること。さらに技術力に加えてユーザーとの緊密な関係を構築することで、変化に左右されない安全性を確保し、持続可能性を高めていることが挙げられる。

2017年に貴陽銀行、蘭州銀行、民生銀行が本人確認のために声密保を導入しており、2019年末時点で同システムを導入した銀行は20行近くに増加している。電子決済システムを運営する「中国銀聯(China UnionPay)」や「国家信息中心(国家情報センター)」、「中国互聯網金融協会(中国インターネット金融協会)」、「国家政務服務平台(国家政務サービスプラットフォーム)」でも採用されている。現在、得意音通の声紋認証技術はモバイルバンキング市場で75%以上のシェアを獲得している。

米国の非営利研究機関MITREのリポートによると、現在実用化されている生体認証のうち、声紋認証の精度は虹彩認証に次いで2番目に高いという。また偽造しにくく、プライバシー性が低いという利点がある。

中国の企業情報検索サイト「天眼査」によれば、得意音通は2015年にシリーズA+で「北京汽車集団産業投資(BAIC Capital)」から、2016年にはプレシリーズBで「日出東方(Solareast Holdings)」「清華控股(Tsinghua Holdings)」から資金を調達している。36Krが過去に取り上げた声紋認証に従事している中国企業には「君林科技(Junlin Technologies)」「声揚科技(VoiceAI Technologies)」「SpeakIn」「快商通(Kriston AI)」などがある。
(翻訳・畠中裕子)

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