次世代高速Wi-Fi規格 「Wi-Fi 6」、家電・IoT業界普及への課題

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次世代高速Wi-Fi規格 「Wi-Fi 6」、家電・IoT業界普及への課題

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無線LANの新規格「Wi-Fi6(IEEE802.11ax)」の商用化元年になるとの声が聞かれる2020年、スマホメーカー各社が発表する新機種には次世代通信規格「5G」対応と並んでWi-Fi6搭載がうたわれている。

中国のスマホメーカー各社はここ3カ月間で軒並みWi-Fi6 対応の新機種を発表している。スマート家電の分野では韓国サムスン電子が世界に先駆けてWi-Fi 6に対応するテレビをリリースしており、今後は冷蔵庫やエアコンなどにもWi-Fi 6対応機種を増やす見込みだ。

 

今年3月までに発表されたWi-Fi 6対応機器(36krまとめ)

速度や遅延が改善し、高密度環境への対応力が強化された Wi-Fi 6 は理論上の最大伝送速度は9.6Gbpsで、1世代前のWi-Fi 5(IEEE802.11ac)の3.5Gbpsから3倍近く高速化されている。データ伝送方式を改善するために新機能をいくつか追加し、使用感を各段に向上させた。伝送路を多重化するMU-MIMO(Multi User MIMO)を上り方向で使用できるようになったことも大きい。

中国スマホ大手「シャオミ(Xiaomi、小米科技)」の雷軍CEOは2月8日、中国版ツイッターとも呼ばれる「微博(ウェイボー)」で、同社の新機種「Mi 10(小米10)」は最大8台の同時通信が可能な「8×8 MU-MIMO」に対応する初のスマホだと強調。8×8 MU-MIMOによって通信速度が大幅に向上するとの説明も加えた。

しかしその直後、雷氏の主張を覆す人物が現れる。中国通信機器最大手、ファーウェイ(華為技術)の携帯電話生産ライン副総裁の李小竜氏が微博で「すでに発売されているWi-Fi 6を搭載したスマホの通信速度は理論値で1200Mbpsしかなく、実効速度は最大900Mbps程度で、データ転送量は150MB/sに満たず、当社が2018年に発売した Mate 20に及ばない」と述べ、Wi-Fi 6を搭載したからといってスマホの通信速度が劇的に上がるわけではないとの認識を示したのだ。

Wi-Fi 6を利用するには端末機器だけでなくルーターのアップグレードも必要だ。Wi-Fi 6対応ルーターは、昨年下半期に各メーカーが集中的に発売した際は2000〜3000元(約3万~4万5000円)と高価だったが、今年に入ってからは300〜400元(約4500〜6000円)とリーズナブルになり、選択肢も多様化。Wi-Fi 6はぐっと身近になった。

Wi-Fi 6は、これまでセルラーネットワーク重視だったIoT分野にも変化を起こしそうだ。複数台同時接続が可能なWi-Fi 6は通信の遅延を改善できるほか、通信に要する電力が少ないためIoTデバイスの待機時間、ひいては電池寿命も延長できる。これにより、Wi-Fi 6はIoTデバイスの未来を切り開く鍵になり、多くのデバイスがセルラーネットワークからWi-Fiに切り替えられるとの見方もある。

経済価値の点から見ても、Wi-Fiは5Gに並びつつある。無線LANの業界団体「Wi-Fi Alliance」のリポートは、Wi-Fiが世界経済にもたらす価値が2018年には1兆9600億ドル(約210兆円)に上っており、23年には3兆4700億ドル(約370兆円)に達するとの見通しを示している。コンサルティングファーム「KPMG」は、5Gが世界経済にもたらす価値は4兆3000億ドル(約460兆円)に上ると推定している。米IT機器大手のシスコシステムズは、Wi-Fiの経済価値が倍増する主な理由として、IoTデバイスへの導入を挙げている。

しかし業界関係者は、IoT業界は長年にわたってセルラーネットワークを利用し、技術を成熟させてきたため、今のところWi-Fi 6への切り替えに熱心ではないと指摘した上で、Wi-Fi 6はまず家電分野でのテスト期間を1、2年間設けたほうがいいかもしれないと話す。また、現在のスマート工場は業界外から過大評価されているが、設備をインターネットに接続している工場は依然として少なく、IoTデバイスについてWi-Fi 6か5Gかの二者択一を迫られるタイミングには至っていないと見る向きもある。

上記の事情により、IoTデバイスの切り替えは簡単にはいかないだろう。業界関係者は、Wi-Fi 6は無償切り替えを強みにIoTデバイスに導入される可能性もあるが、結果はルーターのアップグレード状況に左右されると指摘する。当面のところWi-Fi 6の「顧客」は商品価格が高く、高性能が求められる家電分野になるだろう。
(翻訳・田村広子)

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